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09月22日-05号

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  1. 熊本県議会 2022-09-22
    09月22日-05号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-26
    令和4年 9月 定例会               第 5 号              (9月22日)  令和4年   熊本県議会9月定例会会議録     第5号令和4年9月22日(木曜日)  ―――――――――――――――――   議事日程 第5号  令和4年9月22日(木曜日)午前10時開議 第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)  ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)    ――――――○――――――出席議員氏名(48人)            堤   泰 之 君            前 田 敬 介 君            城 戸   淳 君            本 田 雄 三 君            南 部 隼 平 君            坂 梨 剛 昭 君            荒 川 知 章 君            西 村 尚 武 君            島 田   稔 君            山 本 伸 裕 君            岩 田 智 子 君            池 永 幸 生 君            竹 﨑 和 虎 君            吉 田 孝 平 君            中 村 亮 彦 君            大 平 雄 一 君            髙 島 和 男 君            末 松 直 洋 君            松 村 秀 逸 君            岩 本 浩 治 君            西 山 宗 孝 君            河 津 修 司 君            濱 田 大 造 君            前 田 憲 秀 君            磯 田   毅 君            西   聖 一 君            楠 本 千 秋 君            橋 口 海 平 君            緒 方 勇 二 君            増 永 慎一郎 君            髙 木 健 次 君            髙 野 洋 介 君            内 野 幸 喜 君            山 口   裕 君            渕 上 陽 一 君            田 代 国 広 君            井 手 順 雄 君            城 下 広 作 君            鎌 田   聡 君            坂 田 孝 志 君            溝 口 幸 治 君            小早川 宗 弘 君            池 田 和 貴 君            吉 永 和 世 君            松 田 三 郎 君            藤 川 隆 夫 君            岩 下 栄 一 君            前 川   收 君欠席議員氏名(なし)  ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名     知事     蒲 島 郁 夫 君     副知事    田 嶋   徹 君     副知事    木 村   敬 君     知事公室長  小 牧 裕 明 君     総務部長   平 井 宏 英 君     企画振興部長 高 橋 太 朗 君     理    事 水 谷 孝 司 君     理    事 小金丸   健 君     健康福祉部長 沼 川 敦 彦 君     環境生活部長 小 原 雅 之 君     商工労働部長 三 輪 孝 之 君     観光戦略部長 原 山 明 博 君     農林水産部長 竹 内 信 義 君     土木部長   亀 崎 直 隆 君     会計管理者  野 尾 晴一朗 君     企業局長   竹 田 尚 史 君     病院事業            渡 辺 克 淑 君     管理者     教育長    白 石 伸 一 君     警察本部長  山 口 寛 峰 君     人事委員会            西 尾 浩 明 君     事務局長     監査委員   藤 井 一 恵 君  ―――――――――――――――――事務局職員出席者     事務局長   手 島 伸 介     事務局次長            村 田 竜 二     兼総務課長     議事課長   富 田 博 英     審議員兼            濱 田 浩 史     議事課長補佐    ――――――○――――――  午前10時開議 ○議長(溝口幸治君) これより本日の会議を開きます。    ――――――○―――――― △日程第1 一般質問 ○議長(溝口幸治君) 日程に従いまして、日程第1、昨日に引き続き一般質問を行います。 吉田孝平君。  〔吉田孝平君登壇〕(拍手) ◆(吉田孝平君) 皆さん、おはようございます。自由民主党・宇城市・下益城郡選出・吉田孝平でございます。 先日の台風14号により、全国各地で大災害が起きております。被害に遭われた皆様方には、心からお見舞い申し上げたいと思います。 今日はちょっと時間が心配でございますので、早速質問に移らさせていただきます。 ラグビー日本代表国際テストマッチの招致についてお尋ねいたします。 2019年、本県で開催されたラグビーワールドカップ女子ハンドボール世界選手権大会については、県議会も含め、オール熊本で成功に向けて取り組まれました。 特に、世界3大スポーツイベントの一つとされるラグビーワールドカップが開催されましたが、日本大会は、ラグビーの伝統国以外で開催されたのは初めてで、ワールドラグビーの会長は、2019年日本大会は、恐らく過去最高のラグビーワールドカップとして記憶されるだろうと称賛されました。 また、試合が開催された各競技場の座席の販売率は99%に上り、チケットの販売数も184万枚売れたということであります。そして、全国民に衝撃と感動を与えていただいた歴史に残る試合、日本対スコットランドの試合では、国民の半数近い5,480万人の方がテレビで観戦されたということで、レガシーとして大変すばらしい大会であったと思われます。 本県の県民総合運動公園陸上競技場でも、ラグビーワールドカップ、2試合ともほぼ満員に近い観客で埋まり、10月6日のフランス対トンガ戦は、私も観戦しましたが、2万8,477人、10月13日のウェールズ対ウルグアイ戦は2万7,317人と、スポーツ大会で競技場が埋め尽くされたのは初めてではないかと思われます。 また、女子ハンドボール世界選手権大会は、県内の4会場で行われました。これまで、欧州での開催が多く、97年に男子の大会が熊本で行われ、男女両大会の開催地となるのは、欧州以外では熊本が初めてということでありました。 男子の大会の経験を生かし、女子ハンドボール世界選手権大会は、観戦者数目標の30万人を上回る31万5,000人の方々に御観戦いただき、大成功で終えることができました。 一方で、これらの大会を一過性としないようにする必要があり、その経験をレガシーとして活用していくための取組が重要であると思いますし、県民が一体となって大会の成功のため盛り上がりを見せた大会を忘れることなく、次世代に引き継いでいかなければいけないと考えられます。 私は、ラグビーワールドカップの開催により、県内でも天草や人吉に新たにスポーツスクールが創設されるなど、本県のラグビーの門戸が大きく開いた点も大きな成果であったと思われます。 各スポーツ日本代表などナショナルチームを間近で見ることは、将来を担う子供たちの夢と希望を広げることにつながりますし、スポーツの持つ魅力と感動は大変重要なことであると感じますので、開催するにはたくさんのハードルがありますが、スポーツ大会などの招致は積極的に動いていただきたいと思います。 来年は、いよいよパリでラグビーワールドカップが開催され、再び2019年のあの熱が戻ってくることを私も大変期待しております。 日本ラグビー協会では、このラグビーワールドカップ前、来年の夏頃に日本代表テストマッチの開催を計画しており、熊本県ラグビー協会に本県での開催について打診があっていると聞いております。 打診があったということは、これまでの熊本で開催された国際大会などが大変評価されているということでもあります。また、コロナ禍などでいろんな活動が自粛されてきましたので、この大会をきっかけに機運を高めることになるのではないかと考えられます。 そこで、2019年のラグビーワールドカップのレガシーとして、ラグビー日本代表国際テストマッチの招致について、県はどのように受け止め、どのような対応を行うのか、観光戦略部長にお尋ねいたします。  〔観光戦略部長原山明博君登壇〕 ◎観光戦略部長(原山明博君) ラグビー日本代表国際テストマッチの招致についてお答えします。 2019年、世界中が注目したラグビーワールドカップ女子ハンドボール世界選手権大会の2つの国際スポーツ大会が本県で同時期に開催され、大会を成功裏に終えたことは、県内スポーツ関係者をはじめ、多くの県民の経験と自信につながり、大きなレガシーとなりました。 来年2023年は、国際バドミントン大会国際自転車ロードレース、そして世界マスターズ水泳選手権といった国際スポーツ大会が、本県を舞台に開催される予定です。 このような中、議員御紹介のとおり、2019年ラグビーワールドカップの開催に尽力された熊本県ラグビー協会から、県と熊本市に対して、来年度、熊本に日本代表国際テストマッチを招致することについて、協力のお願いがありました。 テストマッチの開催が実現すれば、コロナ禍で大変厳しい社会経済情勢が続く中、2019年のラグビーワールドカップ盛り上がりを想起させ、県民の元気につながるイベントとなるものと思います。 また、県内外から多くの観戦者が集まり、宿泊、飲食、観光など幅広い経済効果も期待され、本県のスポーツツーリズム推進にも寄与するものと考えます。 一方で、テストマッチの招致に当たっては、主催者である日本ラグビー協会は、芝生に関するワールドラグビー基準の遵守や観戦者の輸送体制の確保などを地元で行うよう求めています。 県としては、招致の実現に向けて、関係機関と協議を行いながら、全力を尽くしてまいります。  〔吉田孝平君登壇〕 ◆(吉田孝平君) 今回はテストマッチということでございますので、比較はできませんが、ちなみに、熊本でラグビーワールドカップが開催された経済波及効果は約106億円ということでございました。また、昨年、大分県で日本代表テストマッチが開催されまして、そのときが約4分の1が地元の大分の方が観戦されて、残りの方はおおよそ県外からのお客さんが観戦されたということではないかと思われます。 夕方に試合がございましたので、やはり宿泊や飲食などで経済波及効果は大きかったのではないかと思われます。そのことも踏まえて、前向きに御検討をお願いしたいと思います。 それでは、次の質問に移らさせていただきたいと思います。 くまモンを活用した地域振興についてお尋ねいたします。 これまで、くまモンは、熊本県の営業部長として、その高い認知度、好感度を生かし、本県の特産品や観光地の情報を国内外に発信し、熊本県のPRに努めてきました。 少し前になりますが、2011年から2013年の2年間の経済波及効果を、日本銀行熊本支店が1,244億円と発表するなど、くまモンの活動は、県経済に多くの貢献を果たしてきたと言えます。 2020年から本格化したコロナ禍においても、くまモンの活躍は衰えることなく、2021年7月には、九州初の生産拠点として九州阿蘇工場をオープンした湖池屋や世界的なコスメブランドであるロクシタンなど、多くの有名企業とのコラボを実現、くまモン関連商品として、全国で販売されています。 その結果、2021年までのくまモンの関連商品の売上累計は、ついに1兆円を超え、今後もくまモンの活躍を大いに期待しているところであります。 その一方で、県経済を振り返ると、コロナの第7波が猛威を振るい、1日の感染者数が5,000人を超えた日もあり、長引くコロナ禍の影響で、小売、サービス業を中心に大きなダメージを受けています。 また、県民に対して強い行動制限を要請されていないものの、感染状況を考慮し、旅行等の自粛や外食を控える県民も多く、県民の心は沈んでいるように感じます。 先月、県商工会連合会が、コロナ第7波が経営に与える影響についての調査結果を公表しています。 これによると、行動制限のあった昨年、令和3年7月と行動制限のない今年、令和4年7月の売上高を比較した結果、前年の売上げを上回ったと回答した事業者は、約4割にとどまっています。さらに、コロナ前と比較すると、その割合は3割にも満たない状況です。 また、本調査の回答の中には、従業員がコロナ感染のため事業ができなかった、感染を恐れての来店自粛、団体客のキャンセル、第7波の話が出た途端に人が来なくなったなどの声も寄せられており、県経済の回復は、まだ見通せない状況にあります。 私は、このようなときだからこそ、県民に元気と勇気を与え、県経済にも寄与するくまモンの活用がますます重要になると考えています。 知事は、県全体がくまモンの魅力にあふれる場所となるくまモンランド化構想を掲げ、先月には、本県と株式会社リクルートとの同構想に係る包括連携協定も締結されました。 私の選挙区である宇城地域は、デコポンや巨峰、シャインマスカットなど、県内有数の果実類の産地であり、2015年に世界文化遺産に登録された三角西港など、多くの地域資源、観光資源を持っていますが、これを十分に生かし切れないように感じています。 このように、まだ十分な力を発揮できていない地域が、くまモンとのコラボレーションを進め、そのブランド力、発信力を活用し、地域本来のポテンシャルが引き出され、その魅力向上につながるのではないかと考えています。 そこで、くまモンランド化構想の中で、どのような形で地域とくまモンが関わり、地域振興に取り組んでいくのか、知事公室長にお尋ねいたします。  〔知事公室長小牧裕明君登壇〕 ◎知事公室長(小牧裕明君) これまで、くまモンは、国内外を問わず、積極的に活動し、熊本県をPRしてきました。その中で、くまモン自身も大きな成長を遂げ、今や日本を代表するキャラクターになりました。 議員御指摘のとおり、くまモンブランド力や発信力を地域と結びつけ、国内外の注目を集めることが地域振興に寄与すると考えています。 そのため、くまモンランド化構想では、各地に存在する地域資源、いわゆる地域の宝と高い認知度、好感度を持つくまモンを掛け合わせた新たな取組を進めています。 具体的には、令和2年7月豪雨からの復興に取り組む人吉・球磨地域において、くまモンが地域の食や宿泊、観光体験とコラボレーションするくまモンタウンを推進します。包括連携協定を締結した株式会社リクルートと連携し、球磨川下りなどのアクティビティーや温泉巡りなどとくまモンを掛け合わせた新たな観光商品等を開発するとともに、キャッシュレスサービスの導入支援や人流、金流データの収集、分析など、地域における観光DXの推進に取り組みます。 また、水俣・芦北地域では、地域全体を観光農園に見立て、くまモンを掛け合わせた収穫体験や食の提供、規格外農林水産物ネット販売などを地域一体となって実施する仕組みづくりを進め、地域の集客力や稼ぐ力の強化を図ってまいります。 さらに、山鹿市では、アフターコロナインバウンド需要も見据え、豊前街道の風景にくまモンを想起させるデザインを溶け込ませる新たな景観づくりに取り組みます。豊前街道の古きよき日本の町並みに新しい空間が生まれることを期待しています。 議員御紹介のとおり、宇城地域は、豊富な農産物や世界文化遺産に登録された三角西港など、唯一無二の地域の宝があります。また、観光列車の終着駅である三角駅や天草への海の玄関口である三角東港など、交通の要衝も有しており、非常にポテンシャルの高い地域であります。 そのポテンシャルを生かすため、例えば、デジタル技術を活用してくまモンが三角西港をガイドする仕掛けや、名産のデコポンを使い、くまモンがプロデュースするスイーツの開発など、いろいろなアイデアが浮かんできます。 このように、宇城地域においても、地域の宝とくまモンコラボレーションすることによって観光客や交流人口を増やし、地域振興を図ることができると考えています。 そして、このような取組を様々な地域に展開していくことで、その効果を県内全域へと波及させ、県経済の発展につなげてまいります。  〔吉田孝平君登壇〕 ◆(吉田孝平君) くまモン人気は、もう皆さんも御存じのとおり、国内外問わず、大変人気でございます。知事公室長より御答弁いただきましたけれども、現在3地域においてくまモンとのコラボレーションに取り組まれているということでございました。 これは補助事業でございますので、ほかの地域においても積極的に取り組んでいただきたいと思います。また、これから、コロナ禍の影響で大変大きなダメージを各地域受けておりますので、県経済の回復により一層取り組んでいただきますようお願い申し上げまして、次の質問に移らさせていただきます。 県立松橋高校の魅力化についてお尋ねいたします。 近年、全国の公立高校において、募集人数を下回る定員割れが深刻化しており、学校数での定員割れの割合でいくと、全国平均40%台で、他県では90%を超えている県もあり、本県でも全国平均を上回る70%を超える割合で、大変問題視されております。 定員割れが深刻化している背景には、一番は少子化が影響していると考えられ、文部科学省によると、令和元年の全国の中学校の卒業生は、111万人とのことであり、この30年で半数近くまで減少しております。 定員割れで生徒数が減少すると、部活動が維持できない、教員の数が減らされ、授業などの教育の質が下がるという声が上がり、そうなると統廃合という話が上がってまいります。 しかし、専門家の中には、定員割れをしているからといって安易に学校の統廃合を進めても解決策にならない、今の時代は、同質の教育ではなく、子供たち一人一人の個性を伸ばし、社会と豊かに関わる教育が求められている、また、学校だけで問題を抱えるのではなく、地域と一緒に特色ある学校づくりをしていくことが大事であり、結果的には将来地元に人材を根づかせることにもつながるので、定員割れの事態をチャンスと捉えることが必要ではないかと言われる方もおられます。 そのような中、県教育委員会では、令和2年度に、外部有識者で構成する県立高等学校あり方検討会を設置し、今後の県立高校の在り方と取組の方向性を協議されました。 検討会の提言の主なポイントとしては、令和3年度から令和6年度までの4年間は、新たな再編統合を行わず、新しい時代に対応していくために、県立高校魅力づくりに一層取り組む必要があるとされています。 また、昨年度は、各高校の存在意義や期待されている社会的役割、目指すべき学校像を示すスクール・ミッションを策定されました。さらに、スクール・ミッション達成のために、各高校が重点的に取り組むための指針となるスクールポリシーを各学校においても策定され、本年3月に併せて公表されています。 このような中、現在、県では、あり方検討会の提言やスクール・ミッションに基づき、魅力ある県立高校づくりに向けて、様々な施策に取り組まれていると思います。 そのような中で、県立高森高校は、これまで10年以上にわたって定員割れが続き、地元地域はもちろん、地域外、県外からの入学者を確保する必要がありましたが、令和5年度に公立高校では全国初となるマンガ学科を設置されることが決定し、7月27日のオープンスクールには、北海道から沖縄まで、県内外から全生徒数79人を大きく上回る130人もの参加があり、その中の101名がマンガ学科希望で、全国的に注目されていると伺っています。 先日、コアミックスの堀江社長の講演を聞かさせていただきました。堀江社長からは、高森高校の卒業生が漫画家となり、お世話になった高森地域の風景などを漫画で描かれると、その風景などを見に国内外から観光客が訪れ、観光誘致、移住、定住にもつながるとの話がありました。 今回、高森高校においては、学校だけでなく、地域創生にもつながる大変魅力ある学科改編に取り組まれたと考えています。 そこで、松橋高校の魅力化について質問したいと思います。 私の地元宇城市には、県立学校として松橋高校を含む5校があります。その中でも、松橋高校は、宇城市の中心部にあり、駅からも歩いて登校ができる立地のよい場所にございます。 松橋高校は、創立から100年を経て、地域の人材育成の核として、これまでに男女合わせて2万1,893名の卒業生を社会に送り出しています。一方で、入学者は厳しい状況が続いており、平成25年度に166名いた入学者が、令和4年度は60名へと減少しています。 また、松橋高校のスクール・ミッションでは、地域のニーズを踏まえ、地域人材の育成、地元自治体、企業及び専門学校等とのさらなる連携を深め、生徒の多様な夢を実現する教育に取り組むと示されています。 令和5年4月からの学科改編では、普通科地域創造コースが新設されますが、これから松橋高校の魅力化をどのように進めていくのか、教育長にお尋ねいたします。  〔教育長白石伸一君登壇〕 ◎教育長(白石伸一君) 県立松橋高校の魅力化についてお答えいたします。 議員御指摘のとおり、松橋高校の入学者数は年々減少し、近年、厳しい状況が続いております。 そこで、県教育委員会としましても、高校のさらなる魅力づくりを進め、入学者数を増やすために、宇城市や宇城市教育委員会などとも連携を図りながら、検討を重ねてまいりました。 その結果、現状の普通科文理総合コース2学級と普通科体育コース1学級について、普通科地域創造コース2学級に学科改編を行うこととしました。具体的には、令和5年4月から、普通科の学習に加え、新たに防災の学びや地域課題等の探求活動を宇城市や地域企業などと連携し、地域と一体となった教育活動を推進することとしております。 今回学科改編を行った普通科地域創造コースでは、県立高校としては初めて、防災について教科横断的に学ぶ学校独自の科目を設定し、災害の専門家による講話や被災地のフィールドワークなどを行いながら、自然災害のメカニズム、災害発生時の避難、被災者の心身のケア、災害からの復興など、多角的に学ぶことができます。この学習を通して、地域の将来を担う防災・減災のリーダーとして活躍できる人材の育成を図ってまいります。 また、普通科地域創造コースを中心に、家政科、情報処理科の3科の生徒が、学科の枠を超えて、多様な地元食材を活用した食品やメニューの開発等に取り組むなど、地域課題解決や持続可能な社会づくりに貢献する人材の育成を図ってまいります。 さらに、部活動においても、本年6月にeスポーツやICTを活用して地域貢献を目指す松高DX部を立ち上げました。宇城市、宇城警察署一般社団法人熊本eスポーツ協会等と連携し、サッカーゲームなどのeスポーツ大会への参加、高齢者向けスマホ教室でのボランティア、SNS利用の注意点を啓発するデジタル防犯などに生徒主体で取り組んでいます。 今後も、地元の宇城市や企業、関係団体などとも緊密に連携しながら、松橋高校の魅力化にしっかり取り組んでまいります。  〔吉田孝平君登壇〕 ◆(吉田孝平君) この学科改編によって入学希望者が増加することが大変重要でございますが、先ほど言われました県立高校では初めてという防災の学びを教育課程に位置づけた学習を行うということでございますので、この学科を選択したことにより、今後どのようなことに生かせるのか、また、進学、就職、いろんな選択が増えるかが、入学希望者にとっては大変重要なポイントになるのではないかと思います。 今後も、松橋高校県立高校の魅力化向上に引き続き御尽力いただきますようお願い申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。 孤独、孤立を防ぐ支え合いの社会づくりについてお尋ねいたします。 今年6月に、孤独・孤立問題に取り組むNPO法人あなたのいばしょ理事長の大空幸星さんの講演を拝聴する機会がありました。 大空さんは、家庭環境が複雑で、小中高と不登校になり、相談できる相手もおらず、いろんな問題を抱え、そんな中、高校時代に、担任の先生に、学校をやめます、死にたいと思っていますとメールをし、翌朝、担任の先生が家の前に立って待っていてくれて、もしかしてこの大人は信頼してもいいかもしれないということで立ち直るきっかけになったというお話をされました。 そのような御経験を踏まえ、大空さんは、自分にとっての先生のように、誰もが問題を抱えたとき、頼れる人に確実にアクセスできる仕組みをつくりたいとの思いから、大学在学中でありながら、信頼できる人に確実にアクセスできる社会の実現と望まない孤独の根絶をミッションとするNPO法人あなたのいばしょを設立されました。 このNPO法人では、24時間365日、年齢や性別を問わず、誰でも無料、匿名で利用できるチャット相談などの事業に取り組まれており、今年の2月25日まで、若年層を中心に26万件に上る相談が寄せられているとのことです。 本県においても、今年度からは、新たにピアサポーターによるヤングケアラーの相談対応や居場所づくりなどに取り組まれているほか、自殺防止対策として、心の健康について支援団体と連携し、SNSによる相談や夜間の電話相談の体制を拡充される等、若年層を対象とした孤独、孤立の予防につながる施策に取り組まれていると聞いております。 ただし、孤独、孤立は、若者だけの問題ではありません。孤独感や孤立感は、若者や高齢者、性別といったものに関係なく、誰もが経験したことのある感情であると思います。例えば、身近な人との離別や死別、離職による社会的役割の喪失、地域社会からの孤立なども、孤独感を抱く原因になると考えられます。 私の周りにも、私と同世代の子供が就職の際に親元を離れて独立されたため、親世代だけの暮らしとなり、その後配偶者が亡くなられ、現在独り暮らしをされている高齢の親御さんが多くおられます。また、会社を辞められた後、仕事上のつながりが失われ、寂しさを感じるという声も多く聞きます。 人生で誰もが経験するこれらの事柄が、孤独、孤立に陥るきっかけとならないよう、様々な対策に取り組むことが必要と感じています。 また、近年では、犯罪件数に占める高齢者の割合が増加していますが、その背景には、親族や親族以外の人との接触機会が少なく、孤立化していることも原因なのではないかということも言われています。 このため、孤立化を防ぐことは、安全、安心な社会を築く上でも重要な課題であると考えられます。 我が国は、現在、急速に少子高齢化が進んでおり、2025年までには、いわゆる団塊の世代が全て75歳以上となり、超高齢社会を迎えることになります。 このような中、私は、高齢者に対する孤独、独立への対策が特に重要になってきていると感じています。 現在、超高齢社会に向けた対応としては、高齢者となり、医療や介護が必要な状態となっても、できる限り住み慣れた地域で安心して生活を継続できるよう、住まい、医療、介護、予防、生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築が進められていると思います。 私は、この体制の構築とともに、世代を超えて人と人とが出会い、共に活動する居場所づくりなど、人と人とのつながりを支援することで互いに支え合う社会をつくっていくことが、孤独、孤立を未然に防ぐことにつながっていくのではないかと考えています。 そこで質問ですが、県は、望まない孤独、孤立を防ぐため、互いに支え合う社会づくりに向け、どのように取り組んでおられるのでしょうか。健康福祉部長にお尋ねいたします。  〔健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(沼川敦彦君) 孤独、孤立を防ぐ支え合いの社会づくりについてお答えします。 県では、互いに支え合い、誰もが安心して暮らせる地域共生社会の実現に向け、3つの施策を柱にした福祉による地域づくりを進めています。 具体的には、子供から高齢者まで、誰もが気軽に集い、支え合う居場所、地域の縁がわづくりや住民同士の支え合いや見守り体制の充実を図る地域の結いづくり、福祉の担い手や支え合いの心を育む地域の人づくりに取り組んでいます。 地域の縁がわは、空き家を活用した地域食堂や高齢者が子供たちの学習を支援する学びの場、オンラインを活用したリモート運動教室など、多様な活動が行われており、県内で581か所に広がりました。 県は、活動団体の立ち上げ支援を実施していますが、地域の縁がわは、様々な方の居場所となるだけでなく、自分の力を発揮する場として、生きがいづくり、仲間づくりにもつながっています。 また、地域の結いづくりでは、住民同士や民生委員による見守り体制の構築に加え、民間事業所が業務の中で見守り活動に協力する熊本見守り応援隊の普及にも取り組んでいます。 さらに、地域の人づくりでは、子供の頃から支え合いの心を育むことができるよう、高齢者や障害者の体験キットを使って行うハートフルサポーター育成研修や県内の大学等と連携した福祉の教材づくりに取り組んでいます。 これらの取組に加え、孤独、孤立した世帯には、高齢者の親とひきこもりの子供、ヤングケアラー、生活困窮など、複雑で複合的な課題があることも多いため、制度の縦割りを超えた包括的な相談対応や支援が必要です。 このため、県では、課題の解決に向けた相談対応や社会参加の支援を、関係機関が連携し、一体的に行うことができるよう、昨年度、国で制度化された重層的支援体制整備事業の活用などを通じて、市町村の包括的な支援体制整備を後押ししているところです。 今後も、関係機関と連携しながら、孤独、孤立を防ぐ取組を推進し、互いに支え合い、誰一人取り残さないくまもとづくりを進めてまいります。  〔吉田孝平君登壇〕 ◆(吉田孝平君) 生涯孤独、孤立だった方はございません。やはり何らかのきっかけによりまして孤独、孤立になる方が多いと思われます。一度孤立してしまいますと、また、長い間そのような生活に慣れると、なかなか、もう今のままでいいと、人と接するのが面倒くさいということになり、いろんな支援があっても受け入れない方も多くおられます。やはり事前に防ぐことが大変重要でございますので、関係機関と連携して、しっかりと取り組んでいただきたいと思っています。 それでは、次の質問に移ります。 肉用牛経営の現状と取組についてお尋ねいたします。 私の地元宇城市、下益城郡は、畜産業の盛んな地域であり、以前、一般質問で肉用牛の増頭対策について質問いたしました。 その質問をさせていただいた当時は、肉用子牛が高値で取引されていたため、生産者の方々も大変喜ばれていました。しかし、年々肉用牛の頭数が減少傾向にあったため、特にあか牛の減少が進んでいたこともあり、高値で取引されているこの時期に増頭すべきではないかということで質問させていただきました。 しかし、先日、地元の農家の方から、鹿児島県や宮崎県など畜産が盛んな県で、和牛の子牛の値段が急激に安くなったという話を聞きました。また、先月には、美里町の品評会、先日は宇城・上益城地域の統一共進会に出席させていただき、地元の畜産農家の方々は、競りで思うような値段がつかず、大変ショックだと、不安を抱えておられました。 また、ロシアのウクライナ侵略や円安等により、ガソリン価格をはじめ、生活に必要な資材の価格が高騰する中、配合飼料や購入する牧草も値上がりをしているため、畜産農家の方々からは、この高値が何年も続くのではないか、子牛の価格も下落傾向にあるので大変不安だというお話もありました。 そこで、調べてみたところ、配合飼料の値上がりの際には、生産者、飼料メーカー、そして国の3者が拠出して造成した基金から価格上昇の一部を補填する制度があり、生産者の負担軽減になっているとのことでありました。 私の地元の畜産農家の方々も、この制度から補填金を受け取っているようですが、何しろ急激な値上がりが続いているため、不安感が根強いようで、私も大変心配しているところでございます。 畜産農家は高齢化しており、また、農産物と違い、投資額が大きく、投資資金を回収する期間も長く、簡単には新規参入できない現状であり、後継者がいない畜産農家の中には、これからも売買価格が低迷するのであれば、今のうちにやめようかと思われる方もいるのではないかと、大変危惧するところであります。 このような中、明るい話題もあります。私の地元宇城市には、牛肉の輸出で新たな取組を進めている食肉センターがあります。当センターによりますと、アジアからの引き合いが強く、タイやマカオに加え、シンガポールへの輸出認可を取得し、新たな販路拡大を進めているとのことです。 県農林水産物の輸出額は、8月24日に知事が発表されましたが、これまでの最高を更新して96億円に届く勢いであり、中でも牛肉が農畜産物輸出額の6割を占め、和牛人気を背景に大口の台湾や香港に安定して輸出しており、加えて、アメリカやタイなどが増加傾向となっているとのことであります。 コロナ禍にあって、インバウンドや外食での消費が停滞し、国内で高価な食材が売りづらい状況の中、高級食材の代名詞でもある和牛が、輸出によって流通が保たれていることが見てとれる状況であります。 日本の和牛をはじめとする牛肉は、欧米やアジアで高く評価され、2021年の輸出額は537億円で、2020年と比較して200億円以上も増加し、さらに、政府の輸出拡大実行戦略では、今後、牛肉の輸出額について、2025年には1,600億円、さらに、2030年には3,600億円を目標とされています。 この目標を達成し、牛肉の生産、加工、流通、販路拡大という、それぞれの段階における課題を解決していく必要があります。 しかし、生産者が減少すれば、おのずと牛の頭数も減ることになります。今後、生産者の一人一人が安心して生産に取り組むためには、経費高による負担を軽減することも重要であります。出来上がった畜産物をしっかり売っていくことも重要だと感じています。 一方で、現在の状況は、国内の問題だけでなく、世界の情勢不安や円安による資材高など、不安要素も多くございます。 そこで、このような中、地に足をつけて頑張る肉用牛生産者の方々を支えるため、どのような制度、取組を行っているのか、農林水産部長にお尋ねいたします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) 肉用牛経営においては、牛の出荷までに長い期間を要することから、その間に生じる経営リスクを軽減するため、国において様々な対策が講じられております。 繁殖農家に対しては、子牛販売価格と毎年国が定める再生産可能な価格との差額を補填する生産者補給金制度が、肥育農家に対しては、月単位で算出する肥育牛の標準的な販売価格と生産費との差額の9割を補填する肥育経営安定交付金が措置されております。 配合飼料につきましては、急激な価格高騰による影響を緩和する価格安定制度がありますが、今回の急騰を受け、県では、生産者積立金の一部支援に取り組んでおります。経営環境が悪化する中で、これらの経営を下支えする支援制度の活用をしっかりと周知してまいります。 また、長期化が懸念される飼料価格の高騰につきましては、牧草などの粗飼料のさらなる増産を推進するとともに、輸入割合の高い穀物などの濃厚飼料を県内生産のトウモロコシに置き換える取組を今年度から開始しており、自給率の向上を図ってまいります。 さらに、議員御指摘のとおり、生産物である牛肉を適切な価格で販売していく取組も大変重要です。 県統一ブランド「くまもと黒毛和牛」につきましては、5月に東京都内で開催した知事トップセールスを皮切りに、首都圏へ販路を拡大しております。これまでのところ順調に出荷され、他県に引けを取らない良好な評価を受けているところです。 引き続き「くまもとあか牛」も含めた県産ブランド牛肉の付加価値向上に、関係団体と一体となって取り組んでまいります。 また、農家の所得増につながる牛肉の輸出につきましては、これまで中核を担ってきた熊本畜産流通センターに、新たに輸出認定施設として宇城市の熊本中央食肉センターが加わり、本県からタイやUAEへの輸出が大きく伸びております。 今後、さらに、令和2年7月豪雨で被災し、来年秋の操業再開とイスラム圏への輸出再開を目指している錦町のゼンカイミートの取組も後押しし、本県からの輸出がさらに拡大するよう、これらの輸出認定施設を積極的に支援してまいります。 今後とも、関係団体と連携して、飼養頭数全国第4位を誇る肉用牛の振興に努めてまいります。  〔吉田孝平君登壇〕 ◆(吉田孝平君) 県統一ブランド「くまもと黒毛和牛」、また「くまもとあか牛」、この2つの県産ブランドの付加価値の向上は大変重要なことでございます。 ただ、この畜産業は、先ほども言いましたけれども、新規参入は、やはり初期投資が大きいため、大変難しいと思われます。この現状をいかに維持していくかが重要であると思われます。また、農家の方が、これからも安心して長く、引き続き頑張っていただけるように、御支援をよろしくお願いしたいと思います。 それから、また、来月鹿児島で行われます全国和牛能力共進会には、私も視察に行かせていただきます。県産牛が高評価されますように御祈念申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。 山村地域の持続的発展に向けた森林再生についてお尋ねいたします。 近年、急速に木材不足が深刻化し、価格も大きく上昇しています。これは、アメリカの需要が高まり、海上輸送の混乱等もあり、世界的に経済や流通構造が変化する中で、輸入木材の減少により、いわゆるウッドショックが発生したことが主な要因であります。 この影響で、国内において国産材の需要が増加し、近年では森林の伐採が全国的に増加しております。 本県においても、人工林の8割以上が伐期を迎えており、今回のウッドショックの影響も含め、皆伐が増加傾向にあります。 一方、近年では、異常気象の対策として、森林が持つ温室効果ガスの吸収能力を高めるため、森林整備や再造林に力を入れていく必要があると言われています。 しかし、現状では、担い手不足などの影響で再造林が進まず、温室効果ガスの吸収量も落ちている状況にあるものと思われます。全国の再造林の割合は、3割から4割と低位にとどまり、県内においても同様と聞いております。 森林は、木材生産のみならず、水源涵養や県土保全などの公益的機能の観点から、県民生活において重要な役割を果たしており、今日に至っては、先ほども言いましたように、地球温暖化対策におけるCO2吸収源としても非常に重要となっています。 異常気象の引き金にもなっている地球温暖化を防止する対策が重要となっておりますが、CO2吸収源として全体の9割を占める森林は、吸収量が減少傾向にあります。最近の吸収量では、2020年の時点で4,000万トン強と、2030年度目標の3,800万トンを上回っていましたが、ここ2年間は年間200から300万トンペースで減っており、再造林が大変重要な課題と考えます。 また、森林について、速やかな再造林がなされなければ、将来的な木材の確保に支障が生じることが懸念され、豪雨災害などが頻繁化、激甚化する中、災害の発生リスクも高まることになります。 しかし、森林の整備を進めるには、林業従事者の確保、経営の安定が不可欠であり、その上で、生産体制を持続し、間伐材を含めた国産材の利用を拡大し、従事者の所得を守ることが大変重要であります。 最近では、国民の価値観やライフスタイルの多様化によって、山村地域での暮らしに憧れ、林業に従事したいという声も聞くようになりました。 そのような中、全国森林組合連合会と農林中央金庫は、自立的かつ持続可能な林業経営の確立を目的とする低コスト再造林プロジェクトを立ち上げられました。 具体的内容としては、伐採と造林の一体作業、伐期の短縮、下刈りの省略、疎植などであり、これまでの作業手順とは大きく変わりますが、1人当たりの生産性向上と将来の林業収入の確保、ひいては国産材の需要拡大にもつながる取組であると考えられます。 林業は、これまで成長産業化を進めてきており、特に山村地域においては、雇用の場としても期待が大きいと思われます。県土の62%を占める森林は、木材を供給するだけでなく、豊富な地下水を涵養し、災害から生命や財産を守るなど、県民生活に大きく寄与する貴重な財産であります。 このような中で、再造林が進まなければ、今後、山村地域の雇用の場が失われ、林業の衰退にもつながるおそれがあります。地域の主要産業である林業の再生は、まさしく地方創生につながるものであるし、受け継いできた森林資源を次世代に資産として引き継いでいかなければいけないと思われます。このような意味でも、再造林の推進は、山村地域存続の根幹に関わる大きな問題であると考えられます。 そこで、再造林による森林再生の意義についてどのように認識しているのか、また、どのように再造林率を高めていくのか、農林水産部長にお尋ねいたします。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) まず、再造林による森林再生の意義につきましては、森林の持つ公益的機能の維持、発揮と山村地域の振興にあると認識しております。 森林の持つ公益的機能の維持、発揮につきましては、議員御指摘のとおり、森林、林業が水源を涵養し、県土を保全するとともに、地球温暖化対策としてCO2を吸収するなどの役割を果たしており、その機能の維持において、再造林は重要な意義を持っております。 山村地域の振興につきましては、森林の再生が図られなければ、林業が衰退し、雇用の場が失われ、ひいては山村地域の存続が危ぶまれると考えております。 次に、どのように再造林率を高めていくのかについてお答えいたします。 現在、ウッドショックの影響により国産材需要が高まる中、皆伐面積は拡大傾向にあります。 また、山村地域は、過疎化が進み、森林を手放したいという方が多くなっているとともに、育林従事者の不足などから、再造林面積はこの10年で750ヘクタール程度と、再造林率は約4割にとどまっております。 このような中、これまで県では、国庫補助の活用による造林事業の推進や水とみどりの森づくり税を活用した森林再生の推進に取り組んでまいりました。 さらに、本年度から、森林再生支援事業を創設し、再造林面積の拡大に取り組む造林事業体への支援を強化しております。 具体的には、前年度以上に再造林面積を拡大する事業体に対し、森林所有者への再造林の働きかけや造林作業に不慣れな新規雇用者の育成経費及び資機材の導入への支援を行うこととしております。 あわせて、事業体を集めての説明会や林業普及指導員による個別訪問を行い、再造林の推進について理解を求めております。その結果、今年度、300ヘクタールの再造林面積の拡大が見込まれております。 今後も皆伐面積の拡大傾向が続くことが見込まれる中、確実な森林再生を図り、森林の持つ公益的機能の維持、発揮と山村地域の振興を果たしていくためには、皆伐面積に対して約7割の再造林が必要です。 この目標達成に向け、森林所有者への再造林のさらなる働きかけや森林所有者と事業体とのマッチングのほか、地域住民、Iターン者など、林業未経験者を新たに雇用する造林事業体の創設を支援していくことで、再造林率を高めてまいります。  〔吉田孝平君登壇〕 ◆(吉田孝平君) ウッドショックがいつまで続くか分かりませんけれども、再造林は、次の世代、また、地球温暖化対策には大変重要な課題でございます。答弁の中にもありましたように、再造林の推進のため、いろんな支援に取り組んでいただいておるところでございます。 全国的に伐採が増加している中、担い手がいないという理由で伐採だけして再造林をしないということにならないように、引き続きの御支援をお願い申し上げたいと思います。 それでは、最後に、道路の除草費用の予算確保の要望をさせていただきます。 本県だけではなく、ほかの自治体でも、維持管理費の予算が足りず、大変悩ましい状況と思われます。 地元の要望として多く聞かれるのが、道路の維持管理、その中でも歩道やのり面等の除草の要望が多く寄せられますが、現状の予算では、優先順位を決めて部分的な除草が行われている状況であります。 これまで、道路景観の向上や道路利用者の快適性向上のため、道路沿いに街路樹を植え付け、歩道等には植樹帯をつくり、また、道路のり面の緑化などが進められてきました。しかし、現在では、それらを適切に維持管理することが大変厳しく、街路樹の伐採、植樹帯も撤去してほしいとの要望も増えてきております。 ガードレールなども、ツタや雑草が絡みつき、柵自体が見えなくなっている箇所もありますし、歩道も、雑草をかき分けて歩かなければいけない箇所もたくさんございます。特に、通学路や交差点、カーブ区間などでは、安全性の低下を招いているようにも思われます。 しかし、除草作業の人件費等は年々上がる一方、予算は財政健全化計画等により大幅に削減されているため、除草できる回数や範囲が大変少なくなっております。 これからの熊本県における景観の保全、安心、安全のためには、道路の除草等の維持管理予算を増額していただきたいと心からお願い申し上げまして、要望とさせていただきます。 時間が、結構余裕でございました。 昨日、国体の結団式が執り行われたということでございます。3年ぶりの栃木国体が開催されるということで、大変うれしく思います。自慢ではございませんけれども、私、国体の監督で1回長崎国体に出場したことがございます。県選手団の健闘を御祈念申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) ○議長(溝口幸治君) この際、5分間休憩いたします。  午前10時56分休憩    ――――――○――――――  午前11時5分開議 ○議長(溝口幸治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 堤泰之君。  〔堤泰之君登壇〕(拍手) ◆(堤泰之君) 皆様、おはようございます。熊本市第一選挙区選出の堤泰之です。6月の初議会から3か月、本日初めて一般質問をさせていただきます。 私には、4人の愛する子供がおります。これまで不動産の仕事に携わりながら、中小企業の団体や地域の団体において、青少年育成の活動に携わらせていただいてまいりました。阿蘇郡選出の県議であった父に負けないように、これまでの経験を生かして、県民の皆様の幸福と子供たちの幸せな未来のために精いっぱい努めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。まだまだ不勉強で至らぬ点もありますが、本日は頑張ります。 初めに、台湾有事の際の熊本県の対応について御質問をさせていただきます。 今もロシアのウクライナ侵攻によって多くの命が失われ、文化的な生活が脅かされていることに、深い悲しみを感じます。世界の紛争地域に、一刻も早く平和が訪れることを心から願っております。 しかし、今という時代は、我が国においても、決して安穏としていられる状況ではございません。東シナ海や南シナ海において、北朝鮮やロシアと連携を強めた中国が、一方的な現状変更への試みを進めております。 特に、台湾をめぐっては、武力行使による統一強行も辞さないという態度を明言し、先日のアメリカの要人の台湾訪問を理由に、中台中間線での軍事演習を行い、現在も台湾海峡での軍の運用を既成事実化しようとしております。 そのような状況下において、日本は、令和4年度の防衛白書の中で、アメリカやオーストラリアと連携し、共に東アジアにおける力による国際秩序の現状変更を一切認めないという姿勢を明確にしております。 岸田総理の下で、情報戦やサイバー戦といった新たな戦いも含めた国家安全保障戦略等の策定を急ぐとしております。 また、超党派の国会議員や元陸海空自衛隊幕僚長を中心とした有事の際の机上訓練が繰り返し行われ、それにより、西日本における弾薬の不足やインフラ防衛の脆弱さが指摘されております。これは、国内だけではなく、海外からも注視されているものです。 そして、我が九州・熊本は、不安定な台湾の海域に近接し、九州・沖縄の自衛隊の司令塔となる陸上自衛隊西部方面隊総監部が熊本市に置かれ、台湾有事の際の影響は殊のほか大きいと思われます。 現在、台湾には2万4,000人以上、中国本土には10万人を超える在留邦人がいらっしゃいます。加えて、常に多くのビジネス、観光客が日本から訪れていらっしゃる状況です。特に、熊本においては、TSMC関連熊本工場が来年度完成予定であることをはじめ、多くのIT関連企業が活発に台湾と取引を行っており、とても台湾との結びつきが強い地域だと言えます。 そして、戦後から長く民間交流が続いている歴史もございます。もしも台湾有事となれば、本県にも様々な影響が及ぶものと思われますし、直接の被害の有無についてはあえてここでは論じませんが、日本がはっきりと台湾を支援するという立場を明確にした際は、熊本県にも一定の役割が求められるのは間違いないのではないでしょうか。 ロシアのウクライナ侵攻時の状況を例に取れば、政府が手配した民間のチャーター機で、近隣の民間の飛行場から在留邦人120名の退避を行った経緯がございます。四方を海に囲まれ、ウクライナとは比べものにならない数の邦人が滞在する台湾からの邦人と友好国の台湾在留者避難は、困難を極めるものと想像します。 それと併せて、戦場に接するであろう沖縄県先島諸島の住民の方々約10万人の安全確保のための判断の帰結を考えれば、九州各県の主要な民間空港や港湾、そして宿泊可能な施設にも大きな役割が要求されるのではないでしょうか。 また、その際、もしも日本で働く家族や友人を頼って台湾の方々が避難を求めた場合、我々は受入れを拒むことができるのでしょうか。 殊さらに不安を助長する気は全くもってありませんが、有事の際に人命と財産を守るのが政治に課せられた使命です。これまで幾度も災害に見舞われ、大きな困難を乗り越えてきた熊本、その災害のたびに多大な働きをされた自衛隊の方々の活動と、熊本地震の際、2億円余りの支援をいただいた台湾の方々に対して、いざというときの準備というものをしておく必要が本県にはあるように思います。 そこで、観光戦略部長に質問です。 台湾有事の際に、短期間で在留邦人や友好国の方々を速やかに避難させる必要が発生した際の熊本県の役割と準備についていかがお考えでしょうか、お尋ねいたします。  〔観光戦略部長原山明博君登壇〕
    観光戦略部長(原山明博君) 台湾有事の際の在留邦人などの避難については、国会において質疑がなされている状況です。 その質疑に対し、外務省は、一般論として、まず、極力商用定期便が利用可能なうちに、在留邦人の出国、出境または安全な場所への移動の確保に努めることになる、有事における我が国の個々の対応や計画について、個別具体的な国、地域名を挙げてつまびらかにすることは、事柄の性質上差し控えるが、いずれにしても、邦人の安全確保に万全を期するべく、政府として全力を尽くすと答弁されており、特定の国、地域を念頭に置いた具体的な対応方針やその際に地方自治体に期待することについては、明確に示されておりません。 一方で、国外有事の際の在留邦人に関する県の役割としては、まずは在留邦人の方々が国内に避難してきた際の一時的な滞在先の確保などが考えられます。 いずれにしましても、県としては、国外有事の際には、国からの具体の要請に応じて、国や関係機関と連携し、適切に対応してまいります。  〔堤泰之君登壇〕 ◆(堤泰之君) 1972年の日中国交正常化以降、日本政府としては、台湾との国交がない状況が続いております。国会の質疑においても、公文書に書ける答弁が難しいのが現状です。 しかし、現実に、日本の自動車、電気機械等の主力産業は台湾の半導体に依存しており、それは我が熊本県においても同様です。また、観光においても、コロナ禍前の令和元年度には、年間21万人を超える台湾人観光客が熊本を訪れておりました。熊本からも多くの方々が台湾との行き来を続けております。経済安全保障の面でも、人道的見地からも、熊本と台湾の関係を軽視することはできないと考えます。 観光戦略部長の答弁の中で、県の役割として述べられましたが、政府が、中国との関係上、公に台湾有事について語ることは難しいと思いますが、だからこそ、なおさら自治体においては、独自の情報収集と関係組織団体とのすり合わせが重要だと考えます。 超党派の国会議員団による台湾訪問や各産業分野における台湾との交流は続いております。私も、台湾の平和が永遠に続くことが望ましいと心底願いますが、災害においても、人災においても、万が一の際に被害を最大限出さない努力が必要だと思います。 1997年に合法的な中国への返還がなされた香港においてさえ、2020年度において、約9万人の人口流出があったとのデータもあります。熊本県が、台湾との友好関係をこれからさらに発展させ、共に栄える未来を築いていくことを願います。 次に、2つ目の質問として、子ども食堂への今後の支援についてお尋ねいたします。 6年前の熊本地震の際、2度の大きな地震によって生活インフラや学校の給食施設が使用できなくなり、多くの家庭が食事や子供たちの居場所の確保に悩むことになりました。 その状況を見て、それぞれの地域で炊き出しや給食支援に立ち上がった人々がいました。そして現在も、その活動や思いは、それぞれの地域で、経済的に厳しい状況にある家庭を救う活動として、現在の子ども食堂に引き継がれてきたように感じております。 子ども食堂は、2012年に、東京の八百屋さんが、貧困や親の多忙から御飯を満足に食べていない子供が増加しているということを知り、自らが経営している八百屋の一角に子供たちが食事をできるスペースを設置したことがきっかけと言われております。 現在、熊本県内においても、120か所を超える子ども食堂や地域食堂と呼ばれるものが開設され、ボランティアによって、経済的に厳しい家庭や親の多忙で不規則な生活を余儀なくされている子供たちに食事を提供しております。あわせて、様々な状況にある子供たちの居場所や学びの場も提供しており、多世代間の交流の場としても、地域に必要不可欠な存在となっていっております。 熊本県は、今年度、このような子ども食堂の活動を支援するために、新型コロナウイルス感染症対策の経費に、物価高騰対策分として、運営費にも活用できる補助金を加えた子ども食堂活動支援事業を行っておられます。 しかし、これからさらに、コロナ禍による経済環境の悪化に加えて、現在進行している急激な円安の影響が拡大して、本格的に物価に転嫁されることが予想されます。それにより、さらに子ども食堂の活動にも大きな影響が出てくるものと考えます。 国においては、来年4月に、いよいよこども家庭庁が発足し、初年度の予算として4兆7,510億円が要求されました。これは、移管前の厚労省や内閣府が22年度に計上した子供関連予算よりも639億円の増額となり、とりわけ放課後児童クラブの整備や子ども食堂など、子供の居場所づくりへの財政支援に1,099億円を予定しています。 子ども食堂の存在が、地域コミュニティーにおけるセーフティーネットとしての役割を担い、重要性が増す中で、子ども食堂への支援事業の継続と充実が、それぞれの家庭を救い、子供たちの健全な育成に資することは、疑う余地がないものと思います。 子ども食堂の地域に根差した善意の活動は、社会の安定と熊本県の未来に対して、非常に大きな意味を持つものだと考えます。 しかし、現在の活動への支援体制は、各市町村によって大きく異なり、地域によっては、運営団体や個人の負担によって何とか活動を維持している食堂も多数存在します。特に、子ども食堂の開設場所の確保については、コロナ禍の中において、コミュニティーセンター等の公的施設が使えずに、厳しい予算組みの中で、有料の施設や倉庫を借りて運営を行っている子ども食堂が多いのが現状です。 また、厳しさを増す社会経済環境下において、子ども食堂の認知度が上がるにつれ、1回当たりの利用者が150人、200人に達する食堂もあります。そのため、寄附行為などで調達可能な食材はともかく、弁当容器や調味料等、どうしても購入せざるを得ないものの経費に対して運営費が不足し、活動を継続していくのが困難となる団体も見受けられます。 今運営団体に必要なのは、事業を継続できる体力です。地域で認知され、民間団体からの資金援助を受けることが可能な団体もありますが、今の経済環境の中で、県からの運営費支援によって、まずは活動を軌道に乗せるというシステムはこれからも必要です。 そこで、健康福祉部長に質問です。 熊本県として、地域における子ども食堂の役割というものをどう捉えておられるでしょうか。また、国際的な食料事情の悪化や国内の経済格差が拡大する中で、地域のセーフティーネットとしての子ども食堂に対する県の今後の継続的な支援について、お考えをお聞かせください。  〔健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(沼川敦彦君) 子ども食堂は、NPO法人や任意団体、個人など多様な実施主体が、それぞれの思いを持って運営されています。 その活動は、食事の提供はもとより、学習支援や遊びの提供、地域の高齢者や障害のある方との交流など、地域のニーズを踏まえ、民間の自発的な創意工夫により、様々な形で展開されています。 このような子ども食堂は、子供たちにとって多様な経験ができる、家でも学校でもない新たな居場所であり、子供たちの健全育成を支援する役割を担っていると考えています。 子ども食堂の取組は、近年、県内各地に広がりを見せており、ネットワークの構築など、食堂同士の主体的な連携体制も整ってきました。しかしながら、新型コロナの感染拡大以降、感染防止のため活動を休止する食堂が多く見受けられました。 県では、子供の居場所を確保するため、緊急かつ直接的な支援として、感染防止対策に必要な経費の助成事業を創設しました。さらに、今年度においては、物価高騰の影響を踏まえ、運営経費の助成を追加しました。 これら支援制度の活用や食堂自らの運営の工夫により、本年5月末現在、県内122か所中103か所の子ども食堂が稼働しております。 国においても、子ども食堂に注目しており、食堂を支援する市町村の取組を交付金により後押しするとともに、都道府県にはその広域調整や後方支援の役割を求めています。 そのため、県では、ネットワーク団体の連携支援や子ども食堂の広報周知等を実施するとともに、令和3年度から、子ども食堂の新規立ち上げや運営をサポートするコーディネーターを設置し、各食堂の実情に応じたきめ細かな支援や助言を行っております。 今後も、子供や家庭、地域の様々なニーズを踏まえつつ、市町村や民間団体等と連携し、子ども食堂運営者の思いを尊重できる支援の在り方を検討してまいります。  〔堤泰之君登壇〕 ◆(堤泰之君) 子ども食堂が子供たちの健全育成を担っているというお言葉がありましたが、まさに令和の時代にこれだけ急速に子ども食堂が広がりを見せているのは時代の要請だと思います。それだけ子育て家庭や子供たちを取り巻く環境が厳しさを増している証拠だと思います。そのような状況を憂える方々が、それぞれの地域のニーズに沿った子ども食堂の活動を現在なされています。 かつて、明治期の急速な近代化、中央集権化の中で発生した労働者の貧困を救うために、渋沢栄一氏らが中心となって、今日の社会福祉協議会の礎が築かれました。現代は、終身雇用の安定した勤務形態が崩れ、人生において何度も労働環境や生活環境が変わる時代です。 反面、地方においては、いまだフレックスタイムや副業、兼業のような多様な働き方が認められる職場はまだまだ限られており、特に独り親世帯や両親ともに専門性の高い職業にある家庭の子供たちは、様々影響を受けております。また、子供たちも、学校の勉強だけでは、その子にふさわしい進学や就職をすることが困難な時代になってきております。 貧困の連鎖や子供の孤立を防ぐシステムを社会が求めております。そのニーズの表れが子ども食堂だと考えています。子ども食堂の普及と発展が、家庭の事情や経済的な理由で部活動や習い事が困難な子供たちの支えとなり、健全な肉体と人格形成に資することを心から願っております。 熊本県としても、地域の子供たちの健全な成長を支えたいという運営者の思いを尊重していただき、運営費支援に加え、県立学校や体育館等の県有施設での子ども食堂の開催を許可するなど、これからもさらなる継続的な支援を続けていただくことを重ねてお願いいたします。 次に、地域の伝統文化の観光戦略における位置づけと文化事業継承に対する支援についてお尋ねいたします。 私は、熊本市の水前寺で生まれ育ちましたが、毎年、夏休みの間は、父の郷里である高森町の友人の家に預けられ、年の近い地元の子たちとともに、虫を取ったり、風鎮祭という地域の祭りに遊びに行ったりして過ごしました。 振り返ると、地方で継承されてきたにわかや山笠などの伝統文化が、都会へ出ていった家族を引き寄せる求心力となって、世代を超えて自身のルーツとその地域に対する愛情というものを育ててきたように思います。 現在、熊本県においても、後継者不足に加え、加速する少子高齢化と新型コロナウイルス感染症の蔓延によって、これまで各地域で存続してきた伝統文化行事の多くが、事業の継承が困難になり、消滅の危機を迎えています。それは、風鎮祭のような町を挙げた大きな祭りだけではなく、町内の夏祭りや地蔵祭り、どんどややその他も含めてのことです。 その一方で、世界的にITサービスの発達や漫画やアニメを通して日本文化を愛する海外の方々の増加によって、インバウンド観光においても、消費者のニーズが物消費から自然、文化体験を柱とする事消費へと裾野を広げております。 日本政府観光局(JNTO)インバウンド戦略部の調査によっても、事消費によって物消費が誘発されるというデータがございます。世界のグローバル化に伴い、ますます伝統文化は観光の有力なコンテンツになってきています。 特に、歴史ある日本文化を体験できる地域への宿泊は、これから我々熊本県が獲得しなければならない欧米や新興国の富裕層の長期滞在型の観光客の獲得を期待できる要素であり、これからの熊本の強みになることは間違いのないところです。 インバウンド消費を見越して蒲島県政が整備された八代港や来春新ターミナルビルが竣工する熊本空港をはじめとする観光インフラを、これから未来に向かってさらに生かすためにも、熊本のそれぞれの地域の郷土芸能や風俗、祭りなどの伝統文化行事の存続は不可欠な要素であり、これらが失われることは、熊本県の今後の観光振興と過疎地域の再生の両面において、取り返しのつかない損失になると危機感を感じております。 そこで、1つ目の質問として、観光戦略部長にお尋ねいたします。 インバウンドにおける今後の熊本の伝統文化を生かした観光戦略について、どのようにお考えでしょうか。できれば、中長期的な視点からも御説明いただければと思います。 また、伝統行事を担っている人材は、自治会運営や消防団などの地域の活動を支えている人材でもあり、地域コミュニティーの維持に欠かせない方々です。 今、私の住む地域においても、子供会やPTA活動を通じて、どんどやや地域の祭り等に関わり、それをきっかけとして、地元の防犯、防災活動や自治会活動などに参加するようになった仲間が多くおります。そのつながりが、世代を超えて地元を愛する心とそれぞれ違った状況にある家庭同士をつないで、地域コミュニティーというものの基礎を担っているものと思っております。 地域文化の担い手や伝統行事が存在しなくなることは、コミュニティーの存続が難しくなることを意味します。これまで地域文化を継承してきた方々は、地域の過疎化とともに、共働きや定年延長により地域活動に対する協力が厳しさを増す中で、貴重な時間とエネルギーを費やして、先祖代々の技能と魂を継承することに尽力されてきた方々です。 しかしながら、コロナ禍の中、今年3回目の中止を余儀なくされた伝統行事もございます。地域文化の危機です。新型コロナウイルス感染症の蔓延から2年半以上が経過した今こそ、地域の伝統文化事業への支援とてこ入れが必要なときだと考えます。 地域を支える伝統文化の担い手である人材の現状と育成を、これからどのように対策を講じていくか、企画振興部長にお尋ねいたします。 以上2点、よろしくお願いいたします。  〔観光戦略部長原山明博君登壇〕 ◎観光戦略部長(原山明博君) インバウンドにおける今後の熊本の伝統文化を生かした観光戦略についてお答えします。 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、コロナ前には年間100万人前後だった本県の外国人観光客は激減しました。 本県では、水際対策の緩和を見据え、この2年間、オンラインで海外の旅行会社と意見交換を重ね、海外における旅行マインドの変化を探りながら、ポストコロナに最適な観光コンテンツについて、情報発信や商談を行ってきました。その際には、山鹿灯籠まつりや八代妙見祭をはじめ、県内各地の祭りなど、伝統文化について紹介してきました。 本県としては、海外の方々にとって、祭りなど地域の伝統文化は、熊本の風情や情緒をじかに感じることができる魅力的な地域資源であると認識しており、今後、海外に向けて発信を強化していきたい観光コンテンツの一つです。 そして、海外から注目されることで、地域の伝統文化を担う方々の誇りやモチベーションの向上にもつながり、ひいては地域の伝統文化の継承に寄与します。 例えば、京都では、祇園祭りに対する海外からの認知度と人気が徐々に高まりつつある中で、外国語対応を強化した結果、多くの外国人観光客が訪れるようになり、経済効果が拡大しました。そして、このことが祭りの担い手の誇りにつながり、地域にも活気が満ちてきたと伺っております。 本県においても、今後、市町村や地域の方々と協議しながら、祭りなど地域の伝統文化の観光コンテンツとしての磨き上げや海外に向けたプロモーションを展開し、外国人観光客の誘客を図るとともに、地域の伝統文化の振興につなげてまいります。  〔企画振興部長高橋太朗君登壇〕 ◎企画振興部長(高橋太朗君) 地域の伝統文化の担い手である人材の現状と育成についてお答えをいたします。 地域に伝わる神楽や祭りなどの伝統文化は、議員御指摘のとおり、人口の減少や少子高齢化等により後継者不足に直面し、その継承が困難になっています。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う活動機会の減少も加わり、地域の伝統文化の継続が一層危ぶまれています。 そこで、県では、地域の伝統文化の現状及び課題を把握し、早急に取り組むべき対策を検討するため、昨年度から今年度にかけて、市町村及び伝統文化の継承を担っている団体の実態調査を行っております。 昨年度は、令和2年7月豪雨で被災した県南地域において先行的に調査を行ったところ、その中で、次世代の担い手育成や道具、衣装整備への財源確保が課題であるとの意見が多くありました。 この結果を踏まえ、今年度、地域の担い手育成に向けた伝統文化の体験機会の提供や道具、衣装等の用具整備などに、団体とともに取り組む市町村の支援に着手したところです。 また、今年度は、県南地域以外の実態調査を行っており、その調査結果を踏まえ、引き続き市町村と連携を図りながら、必要な対策を講じてまいります。  〔堤泰之君登壇〕 ◆(堤泰之君) 観光戦略部長より、本県においても、今後、市町村や祭りの主催者等と協議しながら、観光コンテンツとしての磨き上げや海外におけるプロモーションを展開し、外国人観光客の誘客を図るとともに、地域の伝統文化の振興につなげてまいるという答弁をいただきました。 実は、最近、私の周りで、県外で最先端のDXスキルを学んでクリエーティブな人材となった友人が、何人も熊本に帰ってきてくれております。彼らは、パソコンさえあれば、世界のどこにいても一流の仕事ができる、そんな人たちです。県外で生活し、改めて熊本のすばらしさを再認識して、熊本で生活しながら、故郷のために何かできないかと考えています。 県としては、そんな民間の人材もうまく生かしていっていただくことで、これからの観光戦略をさらによいものとしていただければと思います。 さて、少し話が外れますが、熊本県の観光産業においては、熊本地震、県南の水害を乗り越え、多くの旅館や観光施設が復旧、復興を成し遂げてまいりました。しかし、グループ補助金を活用できた企業であっても、復旧費用の4分の1以上を金融機関からの借入れ等によって賄っております。それに加えて、コロナ禍による赤字を新型コロナウイルス感染症特別貸付等によってしのいでいるのが実情です。 観光産業の借入金比率は、かつてないほど高まっております。事業継続に当たっては、長期で融資を組むために、次の世代にも借入金の返済が及ぶことになります。それぞれの地域で持続可能な観光コンテンツを開発できなければ、事業承継にも影響が及ぶのは必至です。 先日、経済環境委員会での北海道管外視察において、小樽の街を歩かせていただきました。イベントのない平日にもかかわらず、九州からも含め多くの観光客が訪れ、小樽の歴史と文化、風情を楽しんでおりました。 本県においても、地域文化を生かし、長期的に安定した事業継続が可能な、足腰の強い観光産業の育成に成功していただきたいと思っております。 また、企画振興部長より、今年度、地域の担い手育成に向けた伝統文化の体験機会等の提供や道具、衣装等の用具整備などに、団体とともに取り組む市町村を支援する制度を創設するといううれしい報告をいただきました。 今年度、少子高齢化と慢性的な人不足の中で、特に過疎地域においては、伝統文化を継承する人材の確保というものは、大変厳しい課題だと思います。しかし、厳しい状況であるからこそ、各市町村、民間企業としっかり緊密に連携をして、地域の独自性というものを守っていただきたい。 過疎地の企業は、地域の伝統文化の衰退が地元産業の存続に影響を及ぼすことを感じており、地域において生き残りを模索する事業者は、観光業や6次産業に活路を期待しております。 いつか必ず、熊本の本物の文化、風俗というものが、国際的にも評価される日が来ると私は信じております。ほかの部署ともしっかりと協調していただいて、これからも貴重な地域人材の育成に御尽力いただきますことをお願いいたします。 4番目に、子供たちが社会に出ていくために必要な教育についてお尋ねいたします。 18歳成人制となり、私は、子供たちが社会に出るに当たって、今すぐにでも強化しなければならない教育が3つあると思っております。1つは、日本とふるさとの成り立ちを学び、自分自身のルーツを知って、これからの国際社会の中で確立した個人として生きていくために必要な歴史教育、2つ目は、実社会における金銭の働きや契約行為の価値とリスクを知るために必要な金融リテラシーの教育、3つ目は、全ての人間がその個性に応じた能力を最大限に発揮するために必要な職業教育を含めたところのキャリア教育です。 正しい歴史教育は、親子の愛情を信じる心や困難に負けない自尊心を身につけるために重要な要素であり、国際社会に出るに当たって、生まれ育った国の歴史を語れることは、海外の友人の信用を勝ち得る大切な要件です。 また、日本の教育は、子供に金融リテラシーを学ばせるのは当然となっている欧米に比べて、パーソナルファイナンスと呼ばれる個人のお金の計画や管理の重要性についての視点が不足しており、私が従事してきた不動産業界においても、無理なローンを組んだことによって家庭を失ってしまった方や、ライフプランの知識が乏しいことによって、資産を持ちながらも活用することを知らずに厳しい晩年を暮らされた方等、これまでたくさんお会いしてまいりました。 また、団塊ジュニア世代である私の同級生の多くは、必死で受験勉強し大学に入ったにもかかわらず、バブル崩壊による就職難に巻き込まれて、社会における職業の役割というものを学んでこなかったがゆえに、人生の再スタートにおいて大変な苦労を強いられました。 その中でも、特に、本日は、私がライフワークとして関わっておりますキャリア教育について御質問させていただきます。 キャリア教育とは、子供一人一人のキャリア発達を支援し、それぞれにふさわしい生き方を形成していくために必要な能力や態度を育てることと定義されています。具体的には、社会にはどういう役割、職業があるかを知り、その中のどれを担うかをイメージさせることが要件となります。 まず、熊本県が作成した人口ビジョンによると、2020年3月に県内の大学を卒業して就職した4,611人のうち、県外就職は56.7%の2,616人。県内の高校を卒業して就職した3,952人のうち、県外就職は1,528人で、県外就職率は38.7%。これは全国で6番目に高く、大学、高校を含めた学生の県内就職率は6割を切っております。また、3年以内の県内における離職率においても、全国平均よりも高い状況が続いてきておりました。 私も、17年間、小さな会社を経営させていただいておりますが、職業理解の面でも、マインドイメージの部分でも、卒業後に社会に思ったように適応できない学生さんたちが散見されます。 私は、子供たちには、義務教育の時期から、もっと地元産業と接する機会を増やす必要があると考えておりますし、さらに、人生のステージに応じて、職業人として常に能力開発を続けていくことが必要な時代だと捉えております。 学生卒業時に得た知識で一生を生きていける時代ではもうありません。職業人としての自覚を若いうちから高め、生涯かけてスキルを磨いていくことを知るためにも、キャリア教育の拡充こそ子供たちの離職率の大幅な低減にも資するものだと考えております。 熊本県においては、熊本県教育大綱の中で「子供たちが自分の夢を持ち、夢に向かって挑戦を続けるためには、知・徳・体をバランスよく成長させ、"生きる力"を身に付けることが必要」だ、「子供たちが社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現していく力を身に付けるために、キャリア教育の充実に取り組」むと述べられております。 しかし、県内就職率を上げることを目指すとともに、不幸な学生と企業とのミスマッチを少しでもなくすためにも、これまで以上にキャリア教育の拡充の必要性を強く感じております。 近年、日本においても、キャリア教育の重要性が注目されておりますが、15歳で校内の専門のキャリアカウンセラーなどの職業教育の専門家にアクセスできる高校生は、国内全体でも4.4%にすぎず、世界主要72か国中最下位であります。現在、その役割のほとんどは、多忙を極める学校の先生方に委ねられております。 海外では、キャリアの専門家に任せるのが一般的であり、北欧諸国においては、95%以上の高校にキャリアの専門家が常駐していると言われております。そのことが、北欧諸国に世界トップクラスの労働生産性を実現させた一つの要因だと考えております。 熊本の子供たちを、これから国際社会の中で世界で活躍できる人間に育てていくために、今こそ他県に先駆けて民間の有識者の知見を取り入れたキャリア教育の拡充を図っていくべきときではないでしょうか。 県として、社会の変化がますます速くなる中で、生涯にわたって夢と生きる力を育み、子供たちが社会的、職能的に自立していくためにも、熊本県の今後のキャリア教育の向上についてどのように計画を持たれているでしょうか、教育長にお尋ねいたします。  〔教育長白石伸一君登壇〕 ◎教育長(白石伸一君) 本県のキャリア教育についてお答えいたします。 キャリア教育の目的は、子供たちが、学ぶことと自分の将来とのつながりを見通しながら、社会的、職業的自立に向けて必要な資質、能力を身につけていくことであり、夢を実現し、未来をつくる熊本の人づくりを進める上で、キャリア教育の推進は大変重要であると考えております。 そのため、県教育委員会においては、第3期くまもと「夢への架け橋」教育プランにおいて、キャリア教育の充実を明記し、児童生徒の発達段階に応じて、様々な取組を進めております。 まず、義務教育段階では、児童生徒一人一人が、学ぶことや働くことなどについて考え、自分らしく生きていく力を育むために、授業や学校行事などを通して、社会科見学や職場体験活動などに取り組んでいます。また、教職員を対象に、子供たちのキャリアプランニング能力等を育成するための指導力向上研修も開催しております。 さらに、体験活動等から得た学びを記録するキャリア・パスポートの作成を通して、これまでの学習内容を振り返り、将来の生き方を考える取組も行っております。このキャリア・パスポートは、進学先の高校に引き継ぎ、継続的なキャリア教育につなげています。 高校段階では、義務教育の基礎の上に大学等への進学や就職を見据え、生徒の主体的な進路決定とその実現を図ることを目指し、自分が興味、関心を持つ職業調査や三者面談、さらにはインターンシップなど、段階を踏みながら取り組んでいます。 また、産学官が連携して人材を育成するマイスター・ハイスクール事業は、民間の現役技術者が授業を行うことで、地域社会や地域産業について深く知る機会となっており、県内就職の後押しにつながっています。 一方、議員御指摘のとおり、ミスマッチ等に起因する離職を可能な限り防ぐことは重要です。そこで、本県では、就職希望者が多い高校にキャリアサポーター等を配置し、専門的な知見からの企業開拓やマッチング、併せて就職後のフォローアップなどにも取り組んでいます。 今後とも、児童生徒が、社会的、職業的自立に向けて必要な資質、能力を身につけ、将来の自分の進路を描くことができるよう、産業界や地域と連携して、発達段階に応じたキャリア教育のさらなる充実を図ってまいります。  〔堤泰之君登壇〕 ◆(堤泰之君) 御答弁の中で、就職希望が多い高校にキャリアサポーターを配置し、就職後のフォローアップに取り組んでいるとお答えいただきましたが、私は、進学志向の高い学生さんにこそ真の職業教育が必要であると考えております。 現在の大学進学、職業選択においては、有名大学や大手企業が偏重される傾向があることを実感しており、一度県外に進学した学生が熊本に就職することはなかなか難しいということも知っております。しかし、熊本にも、やりがいと幸せな人生を実現できるすばらしい企業がたくさんあります。それを小学生のときから子供たちにも知っていてほしい。 私は、これまで20年余り、熊本の不動産業界に身を置いてまいりましたが、近年の資材高騰に伴う住宅建築単価の上昇にもかかわらず、熊本都市圏の住宅需要というものは根強いものがあります。その新築住宅の需要を牽引しているのは、好調な熊本の半導体、IT関連産業の若い社員さんたちです。TSMC関連企業の進出により、これからも熊本県における工業系人材の確保というものは、日本の産業界からも強い要請があるものと思われます。 働き方改革や労働者の人権が改めて求められる中で、学生さんたちに職業適性があるにもかかわらず、企業とマッチングできずに熊本で生きるという選択肢を狭めることがないように、これからもキャリア教育のシステムを、義務教育、高等教育課程を通して磨いていっていただきたいと願っております。 人間が人生において最大限能力を発揮して社会を変革するような偉業をなすための力の源は、私は、子供の頃に捉えた夢を実現するための不断の努力だと考えております。好きなことに没頭できることほど幸せなことはありません。 私は『ONE PIECE』の作者尾田栄一郎さんと同い年です。彼も、私たちと同じ時代をこの熊本で過ごしました。尾田さんとは面識がありませんが、今、この熊本に生きる子供たちの中にも、未来の尾田栄一郎さんや蒲島県知事がいることだと思います。いつか熊本県に、全ての子供たちがその天性を遺憾なく発揮して、夢のために頑張ることができる教育環境が実現されることを願っております。 以上、4項目の質問が終わりました。 ここで、1点要望を述べさせていただきます。 国道57号線東バイパスの渋滞対策についてです。 熊本県新広域道路交通計画において10分・20分構想が掲げられ、新たな高規格道路の建設実現を目指し、本年8月に、熊本都市圏3連絡道路建設促進協議会が設立されました。 熊本の懸案だった中心部から九州自動車道、阿蘇くまもと空港までへのアクセス改善に大きく寄与することは間違いなく、早期の実現が期待されるものであります。10分・20分構想の早期実現に向け、私もできる限りの働きをさせていただくことを誓います。 その一方で、先輩議員からも質問が上がっておりましたが、皆様御存じのとおり、熊本都市圏においては、政令市中最悪と言われる慢性的な渋滞が長期間継続しており、特に国道57号線東バイパスとそれに接続する熊本都市圏の東西軸を結ぶ主要交差点においては、連日渋滞が数キロに及ぶことも珍しくございません。 住民アンケート、熊本都市圏の道路交通に対する意見においても、日頃の渋滞の緩和と移動時間の短縮に対する要望が最多となり、熊本都市圏における渋滞の解消が、県民の皆様の強い望みです。 また、渋滞の名所が存在する校区においては、スクールゾーンへの車の進入、交通事故の発生により、児童や高齢者の安全確保に腐心をしており、校区内の交通渋滞の解消が地域課題の上位に位置づけられております。 そこで要望です。 現在計画されている高規格道路の建設において、熊本市東部地域、特に渋滞が激しい保田窪北交差点、上水前寺交差点、神水交差点、産業道路等の渋滞緩和にどの程度寄与するか、しっかりとした調査、分析を行っていただきたいと思います。 それにより、もし高規格道路の建設によっても抜本的に朝夕の渋滞が解消されないとなれば、速やかに、熊本県としても、熊本市及び周辺市町村と連携して追加的措置を講じることをお願いいたします。 菊陽・合志地域に集約されつつあるIT関連企業にお勤めの方の多くが、熊本市から通勤していらっしゃいます。TSMC関連企業の進出によって、その傾向はますます高まると私は考えています。国道57号線東バイパスの渋滞は、熊本市だけの問題ではないと認識しております。 これからの熊本都市圏の交通網の最適化には、各種の公共交通機関連携の見直しやバス専用道路の拡幅、主要交差点の立体化が引き続き必要だと思いますが、県が明確なビジョンを示して交通網の改善に取り組まなければ、県民全体の幸福度の向上は実現できないと思います。今後の総合的な道路行政において、引き続き渋滞解消への最大限の尽力をお願いいたします。 以上で本日の質問と要望を終えさせていただきます。 最後に、9月議会での私の質問のために調整いただいた皆様に心より感謝申し上げ、そしてこの場に立たせていただく原動力となり、本日も忙しい中に私の話を聞いていただいている皆様に、ありがとうとお伝えさせていただきたいと思います。 これからも自分らしく頑張ります。(拍手) ○議長(溝口幸治君) 昼食のため、午後1時10分まで休憩いたします。  午後0時5分休憩    ――――――○――――――  午後1時9分開議 ○副議長(髙野洋介君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 坂梨剛昭君。  〔坂梨剛昭君登壇〕(拍手) ◆(坂梨剛昭君) 皆さん、こんにちは。玉名市選出・自由民主党・坂梨剛昭でございます。振り返りますと、3年前の9月議会で初めて質問に立たさせていただき、今回で4回目となります。 私のモットーは、常に全力投球。48歳、もう若いとは言い難いのですが、フットワーク軽く、与えられた目の前の問題に全力で取り組む、これからもその初心の心を忘れず、決しておごることなく邁進していきたいと思います。 今日は、久しかぶりに多くの支援者、傍聴に来ていただきました。皆さんの前でその決意を改めて誓わさせていただき、発言通告に従い、質問をさせていただきます。 最初の質問は、不妊治療、不育症治療における県の取組についてであります。 政府は、令和4年6月、少子化社会対策白書を発表しました。それによると、現状として、新型コロナウイルス感染拡大前と比較し、20代、30代では、ほかの世代より生活の維持、年収、仕事、また、結婚、家族などの不安が増しているのに加え、20代では、人間関係、社会との交流、30代では、子供の育児、教育の不安がそれぞれ増している傾向が見られています。 そのような傾向の対策として、様々な取組、また、対策が各段階のライフステージに合わせ講じられていますが、コロナウイルス状況、経済の不安定な情勢などを鑑みると、果たして改善へと進むのか、さらには少子高齢化対策につながるのか、その不安は拭えていません。 厚生労働省は、令和3年の出生数が約81万人と公表。6年連続で過去最少を更新しました。この統計は、国が平成29年に公表した推計を上回るスピードで少子化が進んでいることを示しており、影響は婚姻件数にも比例し、減少傾向が見られています。 我が国では、1997年以降、少子高齢化が進み、いわゆる年齢別の人口比率グラフは、円柱ではなく、極端な逆三角形の状態になっています。これは、今後1人が支える高齢者が複数になることを示し、政府としても、また、各自治体としても、この難題に向けて様々な手だてを打ってこられました。 しかし、御承知のとおり、思うような成果を上げるまでには至っておらず、逆に晩婚化、さらには結婚をしない国民も増え始めている現状がございます。 その反面、子供を授かりたいと強く願っている方々がおられること、また、なかなか授かることができない方も増え、その状況は、統計で見ると、年齢を重ねるごとに厳しくなると言われています。 そのような中、今年4月、政府は、不妊治療に対し、保険適用を実施いたしました。これまで経済的に厳しかった方は、希望の光がともされたのではないでしょうか。 しかし、不妊治療をされている方から話を聞けば、問題は、経済面だけではなく、多岐にわたると言います。仕事場での理解、家庭と仕事の両立、その中でも大切なのは家族の理解だと言います。悩みは人それぞれですが、少しでも心の負担感軽減のため、県としても支援体制に力を注ぐ必要があります。 さらに、妊娠をしても流産や死産を繰り返してしまう不育症への対策についても同様で、現在、不育症患者数は約140万人、年間約3万組が発症されていると推定されています。 不育症に悩まれている方へは、正確な情報提供、相談窓口でのカウンセリングなど支援が必要であり、不育症、不妊治療も、経済的な問題だけではなく、治療の結果に対する期待や不安、失望など、精神的な負担も非常に大きいことから、こうした方々に対する支援体制、負担感の軽減のために、県はどういう取組をされているのか。 また、年齢を重ねるほど妊娠、出産につながりにくいのであれば、妊娠を望む場合、早くからの相談、治療などを検討していく必要があり、若い世代へ啓発が重要かと考えますが、県はこうした取組についてどのようにお考えか、併せて健康福祉部長にお伺いいたします。  〔健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(沼川敦彦君) まず、不妊症や不育症に悩む方への支援体制についてお答えします。 結婚や妊娠、出産の年齢が上昇していることに伴い、不妊症等で悩む方は増加していると考えられます。 このため、県女性相談センターに不妊専門相談窓口を設置し、適切な情報提供に努めるとともに、県が委嘱している産婦人科医や助産師等が寄り添いながら相談に対応しています。 また、働きながら不妊治療を受けるためには、勤務する職場の理解が不可欠です。県では、企業の代表者が従業員の仕事と生活の充実を応援するよかボスの取組を進めています。 この中で、企業等に対して、不妊治療も含め、出産、子育て等について、職場が理解を深めるためのセミナーを開催するなど、妊娠や出産と仕事を両立できる環境づくりを進めております。 次に、若い世代への啓発についてお答えします。 若い世代に、その成長段階に応じて妊娠や出産等を正しく理解し、自らの問題として認識してもらうことが重要です。 このため、高校生に対しては、命の大切さや性に関する正しい知識を学んでもらうための講演会を開催しています。この講演会は、教育委員会と連携し、毎年20校程度の高校を直接訪問する形で開催しており、医師や助産師等が、妊娠する力や妊娠に適した年代について、分かりやすく説明しています。 また、大学生等に対しては、不妊症等を含めた妊娠を取り巻く様々な事柄を学びながら、自分自身の就職、結婚、妊娠、出産といったライフデザインを考えてもらうための講座やイベントを開催するなど、啓発と情報発信に力を入れております。 さらに、望んでいるにもかかわらず1年以上妊娠しない場合は、早めに医療機関を受診し、不妊治療を検討することが重要です。 このため、県では、ホームページやパンフレット等により、相談窓口や治療を受けることができる医療機関等について、広く周知をしております。 引き続き、市町村や教育委員会、大学等の関係機関とも連携し、子供を持つことを望まれる方々が、妊娠、出産に向けて適切に支援を受けることができるよう、また、若い世代に妊娠等を正しく理解し、自分事として捉えてもらえるよう、しっかりと取り組んでまいります。  〔坂梨剛昭君登壇〕 ◆(坂梨剛昭君) 健康福祉部長より答弁をいただきました。 私は、10歳の長女、8歳の長男、2人の子供がいて、絶賛子育て奮闘中でございます。 今から約11年前、当時、私が38歳、家内が37歳。高齢出産になることから、検査で病院に行きました。結果、産婦人科の先生からは、子供は難しいかもしれないと診断結果を聞かされてからの結婚でした。だからこそ、今でも妊娠が分かったときのその喜びは忘れはしません。世の中には、子供を持つことを希望されている方がたくさんおられます。だからこそ、その方々にもその喜びを知っていただきたい、心からそう願うばかりです。 現在、国も県も、そして各自治体においても、妊娠から出産、子育てに至るまで、かつてないほどの支援体制、相談体制が組まれているかと思います。ぜひ、これまで以上に、情報発信をはじめ、啓発活動に力を注いでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 次に、2025年問題に向けての要支援者個別避難計画の進捗について伺います。 目の前に迫る2025年問題、これは、日本の人口の年齢別比率が劇的に変化して、超高齢化社会に入ることを意味します。 後期高齢者の数は、2015年で約1,691万人、2025年には約2,180万人、さらには、2055年にはピークを迎え、約2,446万人になります。これは、日本人の4人に1人が後期高齢者ということになります。 これまで日本の社会や経済を支えた世代が抜けていく、この先に起こり得る問題は、当然、医療、介護、福祉などの社会保障費に人材不足、さらに、孤立する高齢者問題に認知症問題、今後、私たちの社会的構造体制は大きな分岐点を迎えることになります。 今回の2025年問題は、いわゆる団塊の世代約800万人が75歳以上になるということ、これは、全人口の約18%が後期高齢者という超高齢化社会に突入することで、これまでの高齢化進展の速さから高齢化比率の高さが問題視をされていきます。 また、危惧する問題として、認知症高齢者数が約320万人と急速な増加が見込まれること、高齢者の住まい状況では、現在、高齢者世帯数が約1,840万世帯と言われ、そのうち約7割が独り暮らしまたは高齢者夫婦のみ、約680万世帯、約37%が独り暮らし。この孤立する高齢者が増えている状況は、今後どのように支えていけばいいのか、大きな課題となってまいります。 そのような中、私が重要と考える問題の一つが、要支援者の方々を災害時、緊急時にどう迅速に支えていくかであります。 昨年の3月も質問をしました。私たちは、熊本地震、豪雨災害、幾たびの自然災害を経験し、その都度、助かる命を守れず、涙する姿、悔しい姿を現場で、また、幾つもの報道で見てまいりました。 現在、私自身、日頃の政治活動として、自分の命は自分で守るマイタイムラインの資料を地域で配布をしております。要支援者の方々を守るために、孤立した高齢者の方々を守るためには、改めて地域の支援の輪を広げていくこと、これしかないと、その重要性をつくづく感じています。 ここで質問をさせていただきます。 避難行動要支援者ごとに市町村が作成する個別避難計画について、令和3年5月にその作成が市町村で努力義務化されました。大きな災害を経験した熊本県は、危機意識が高く、全国より高い割合で作成が進んでいると聞いております。 この作成は、災害時の避難に支援を必要とする方が迅速かつ安全に避難するため、日頃からサポートされている御家族や民生委員、近隣住民など、一人一人がどのように支えていくのか、綿密に計画していくものであり、限りなく100%の作成を目指していくべきものであります。 さらに、前回の質問でも申したように、地域のつながりが強い郡部においては、家族や地縁、血縁、また、民生委員の方々の協力で計画を作成されているかと思われますが、地域のつながりが薄いと思われる都市部においては、まだ課題があるのではないでしょうか。 2025年は必ずやってまいります。超高齢化社会は避けることはできません。地域は地域で守る、包括ケアの一つ、避難行動要支援者個別避難計画作成の進捗状況と併せ、県は今後どのように市町村の取組を支援していかれるのか、健康福祉部長に伺います。  〔健康福祉部長沼川敦彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(沼川敦彦君) まず、市町村における要支援者個別避難計画作成の進捗状況についてお答えします。 県では、熊本地震や令和2年7月豪雨の経験を踏まえ、丁寧に市町村の計画作成への支援を続けてまいりました。 その結果、本年6月に内閣府と消防庁が公表した資料によると、本年1月1日時点で、県内45市町村のうち12市町村が、全ての要支援者の計画作成を完了しております。この割合は26.7%となり、全国トップとなっております。 残る33市町村においても、26市町村が、本年3月末時点で、自らの情報を避難支援者等へ提供することに同意された要支援者の計画作成を完了しており、計画の作成は着実に進んでおります。 次に、市町村の計画作成に対する県の支援についてお答えします。 県では、これまでも、アドバイザー派遣や研修会の開催等による支援を行ってまいりましたが、今年度の新たな取組として、行政と地域住民が連携して計画づくりに取り組むモデル事業を、人吉市や荒尾市など、5市町7地区で実施しています。 この事業では、計画づくりに際し、地域住民を交えたワークショップや防災訓練等を併せて実施することにより、避難支援者の確保や地域住民との災害時の連携体制の確立を図り、より実効性のある計画づくりを進めています。 県では、この事業により、他の市町村にも横展開できる優良事例を創出し、今後の作成支援に生かしていくこととしております。 議員御指摘の社会構造の変化を踏まえ、災害発生時に要支援者が誰一人取り残されることなく確実に避難できるよう、県として、市町村が行う計画作成や計画の実効性向上を図る取組を、引き続きしっかりと支援してまいります。  〔坂梨剛昭君登壇〕 ◆(坂梨剛昭君) 先日の台風14号では、様々の関係機関からの最大限の注意喚起により、多くの方々が迅速に避難所へ避難されました。この行動は、熊本地震を経験した、また、幾たびの自然災害を目の当たりにしてきたからこそ、その危機意識が高くなっているかと思われます。 しかしながら、要支援者の支援に駆けつけた人の話を聞けば、私はここにいる、この家を離れないなどと、問題も生じました。やるべき課題は大きく2つ、一日でも早く要支援者個別計画の作成を限りなく100%を目指していくこと、そして、その計画が実行できる関係性と支援体制を整えることであります。 蒲島知事が言われます、誰一人取り残さない、今や熊本県のキャッチフレーズとも言えるその強い思いで、今後も全力で支援していただきますよう、健康福祉部長にお願いをいたします。 次の質問は、GX経済成長に向けた県の取組について伺います。 GX、グリーントランスフォーメーションとは、脱炭素社会に向け、温室効果ガスの排出原因となっている化石燃料などから、脱炭素ガスや太陽光、風力発電といった再生可能なグリーンエネルギーに転換していくこと、また、その中で、経済社会、産業構造、社会システムそのものを変革し、新たな社会に向けて成長へとつなげていくことを言います。 皆さんも御存じのとおり、GXの背景となるのはカーボンニュートラルです。現在、世界では、125の国と1つの地域がカーボンニュートラル実現に向け表明をしています。しかし、これらにおけるCO2排出量は、全世界を占める割合で37.7%となっています。 地球的な課題として、多くの国と地域が地球温暖化対策に向け機運を高めている中、今GXが注目をされています。そのきっかけの一つが、今年7月、岸田総理が第1回GX実行会議を開催したことであり、また、政府が重点投資分野の一つとしてGXを挙げたことで関心が深まりました。 このGXの取組は、単に化石エネルギーから脱却するのではなく、2050年炭素中立の目標に向けて、エネルギーや様々な産業、これからのニューノーマル社会の大改革に向けた取組になります。 現在、海外の主な企業の先行事例として、アマゾンは、電気自動車への変換、グローバルインフラを100%再生可能エネルギーにしていくことを目指しています。グーグルでは、全てのデータセンターをカーボンフリーに、また、世界の主要製造エリアにおいても同様の取組を行い、それをすることにより雇用を2万人創出すると言われています。同様に、アップルも行われています。 日本においては、トヨタが、トヨタ環境チャレンジ2050という取組を2015年に発表、地球環境の問題に対し、車の持つマイナス要素をゼロに近づける、車の製造から廃棄まで、車のライフサイクル全体で二酸化炭素排出ゼロを目指すことを始めました。そのほか、NTT、そしてENEOSなど、多くの業界が、カーボンニュートラルに向け、GXに力を注ぎ始めました。 様々な企業、民間がGXに動き出す中、今月9日、東京都が、全国初となる住宅など新築建物への太陽光パネル設置義務化を発表、脱炭素に向け動き出しました。これは、購入者ではなく、大手住宅メーカーが対象となり、2025年4月の条例施行を目指すとのことです。 小池知事は、脱炭素という大きな大義を実現するために、まずは東京都として率先して行動を起こすこと、都民の共感を生み出していくことが不可欠と述べられました。 現在、熊本県でも、再エネ100宣言として、使用電力を100%再生可能エネルギーに挑戦する団体、企業を募集。また、2020年には、2030年度に向けて再エネ電力を消費電力比50%にすることを目指す第2次熊本県総合エネルギー計画が立てられました。 気候変動の脅威が現実味となり、全分野で再エネ導入が当たり前になるという時代に向け、熊本は、再エネの主力電源化を実現できる、そのポテンシャルがあるということで、創造熊本の全体目標が示されています。 これから産業構造は大きく変化をしていきます。身近なもので言えば、車がハイブリッド化、また、電気自動車に替わり、ガソリンスタンドの業務形態も大きく変化していく、併せて整備工場なども大きな変換を余儀なくされてきます。 さらには、AIの普及により、増える仕事もあれば、失われる仕事も出てくる。これまでのビジネスモデルや戦略が根本的に目まぐるしく変わる中、私たち国民一人一人が、脱炭素に向け、意識を高めていく必要があります。 ここで質問いたします。 これから、熊本でも、産業革命以来の化石燃料依存の構造から、グリーンエネルギー中心の産業構造への転換に加速し、挑戦していくことになります。この難題を逆手に経済成長へとつなげるため、今後、県としてGX経済にどのように取り組まれるのか、また、2025年、東京都が住宅等新築建物太陽光パネル設置義務化を進めていく中で、熊本県としての考えを商工労働部長に伺います。  〔商工労働部長三輪孝之君登壇〕 ◎商工労働部長(三輪孝之君) 本県のGXへの取組についてお答えします。 GXは、企業や生活者の意識と行動の変容の循環を生み出すことで、企業の成長、生活者の幸福、そして地球環境への貢献が同時に実現されることであり、その実現に向けては、産業構造の転換が重要です。県内企業においても、意識、行動の変容や産業構造の変化への対応に積極的に取り組むことが重要であると考えています。 GXを県経済の成長につなげるためには、まずは、迫りくる産業構造の変化を県内企業が認識し、理解を深めることが不可欠です。このため、県では、カーボンニュートラルをテーマとした企業経営者向けセミナーを実施しています。 そして、県内企業には、脱炭素経営に取り組んでいただく必要があり、そのためには、再生可能エネルギーの導入が避けては通れません。 このため、県では、第2次熊本県総合エネルギー計画において「再生可能エネルギーで稼ぐくまもと」を掲げて、企業の再エネ利用促進や再エネ発電事業者の増加に向けて取り組んでいます。 具体的には、中小企業向けに、使用電力の再エネ100%化を目指すRE Actionへの参加を促すアドバイザーの派遣や再エネ設備の導入資金の低利貸付けなどの取組を進めています。また、発電事業者が安定的に再エネを発電できる環境づくりとして、市町村と連携して、太陽光や陸上風力の発電所の適地への誘導に取り組んでいます。 また、議員御紹介の住宅用太陽光発電の設置義務化については、東京都だけでなく、国においても昨年度検討されています。しかしながら、国の検討会において、住宅の場所によって日当たりの差があることや住宅メーカーや購入者の負担増といった課題を指摘する意見があり、法制化が見送られた経緯があります。このため、本県としては、現時点では設置義務化は検討しておりません。 一方、本県は、日照条件のよさを生かして住宅用太陽光発電の普及を進めてきており、2020年度時点の普及率は全国第2位となっています。さらなる普及を目指して、太陽光発電設置時の自己負担を軽減する、いわゆる初期投資ゼロモデルの普及を進めてまいります。 現在、国のGX実行会議において、今後10年のロードマップの具体化の検討が進められるなど、GX政策の具体的な方向性が議論されています。 今後も、国の動向を注視し、熊本県工業連合会等の関係団体と連携しながら、県内企業のGXの取組をしっかりと支援してまいります。 GXへの挑戦を通じて、県内経済の成長と2050年県内CO2排出実質ゼロを共に実現できるよう、全力で取り組んでまいります。  〔坂梨剛昭君登壇〕 ◆(坂梨剛昭君) 商工労働部長より答弁いただきました。 これから、熊本県は、そして日本は、カーボンニュートラルに向け、大いなる戦いに挑みます。今世界が大きく動き出す中で、その流れに遅れることなく、逆にチャンスと捉え、県経済の成長につなげていただきたいと思います。先進している世界の動向も併せて注視し、県経済発展にどうか全力でつないでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 次に、アフターコロナに向けた事業者の事業継続について伺います。 新型コロナウイルスによって、私たちの生活は大きな変化を求められました。人と人とのつながりの遮断、マスク越しでの会話、家族でさえも最期をみとることができなかった方もおられるのではないでしょうか。 それと同じく、経済界においても、大きな激震が走りました。観光、飲食、教育、農林水産漁業をはじめ、ありとあらゆる業種に至るまで、感染リスクを避けるための対策を講じてきたその代償は壊滅的であり、多くの業界は困窮しました。 政府としても、給付金をはじめ、多くの支援金や補助金などを創設、事業者、個人事業主は、こうした支援金などを活用しながら、コロナ禍の中、わらにもすがる思いで、事業を継続するために現在も頑張っておられます。 しかし、これまで、国や各自治体から支援を受け、いわば痛み止めをしながら経営を継続されておられますが、現在、政府は、新たなフェーズとして、ウィズコロナにかじを切り始めました。人流を抑制せず、経済を止めない、そのような方針を堅持されておられます。 しかし、客足が思うように戻らず、コロナ禍前には遠く及ばない営業を続けられる事業者もおられます。さらには、コロナ禍が長期化する中で、経営が悪化する事業者も増えてくると考えられます。 事業者の皆さんの中には、コロナ禍の資金繰りのため、いわゆるゼロゼロ融資を活用されている方も多くいらっしゃいます。県制度融資におけるコロナ関連の金融機関融資残高は、7月末現在で2,286億円とのことでありますが、こうした融資の据置期間を終え、今後償還が本格化することから、返済が厳しく、耐えることができず、店を畳んでいく事業者が増えていくのではないかと危惧をしております。 さらに、コロナ禍の経営悪化とともに、高齢化により、これを機に事業承継を望まれる事業者も少なくないと思います。 事業承継は、全国的な課題であり、事業承継・引継ぎ支援センターの事業承継の成約件数は、令和3年度には34件といった状況です。地域の経済を維持していくため、こうした事業者の思いを実現すべく、行政が後押しをすることが重要であると考えています。 そこで、コロナ融資の元金償還が本格化する中で、コロナ禍の長期化に伴い、経営がさらに悪化する事業者の事業再生に向け、県としてどのような対策を講じていくのか、また、喫緊の課題でもある事業承継に関して、県としてどのように取り組むのか、商工労働部長にお尋ねいたします。  〔商工労働部長三輪孝之君登壇〕 ◎商工労働部長(三輪孝之君) まず、事業者の事業再生に向けた県の対策についてお答えします。 新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、コロナ融資の償還が本格化し、経営のさらなる悪化が懸念されることから、事業者の財務体質の強化と経営体質の改善が必要であると考えています。 県では、昨年11月に、国の特別保証制度を活用し、既存融資の借換えによる償還期間の延長にも対応した新型コロナウイルス経営改善資金を創設いたしました。 この資金は、経営行動計画等を策定し、金融機関などが伴走型で事業者の経営を支援するもので、8月末時点で既に930件、110億円を超える融資実績があり、多くの事業者の方々が活用されています。 また、事業者の資本を強化し、財務の安定につなげる資本性劣後ローンの活用を促進するため、利子の一部を補助する事業を8月に開始しています。 一方で、自ら経営改善計画を策定することが難しい事業者もいます。そのため、国の経営改善計画策定支援事業等を活用し、専門家の支援を受ける際の費用の一部を補助するための予算を、今定例会に提案しています。 引き続き、コロナ禍を乗り越えようとする事業者の方々の取組をしっかりと支援してまいります。 次に、事業承継に関する県の取組についてお答えします。 コロナ禍で休廃業や解散する企業の増加も懸念されることから、事業資産や人材など、経営資源の承継による地域経済の維持が必要であると考えています。 県では、熊本県商工会連合会などに特任経営指導員を配置し、事業承継に取り組んでいます。その成果の事例としまして、水上村では、創業30年の温泉旅館が、第三者承継で地域文化体験交流型の宿泊施設に生まれ変わりました。天草市では、存続の危機にあった島唯一の石油店が、第三者承継により事業承継され、島の暮らしが支えられています。 このように、少しずつではありますが、特任経営指導員による丁寧な支援が着実な事業承継につながっており、こうした取組がテレビ番組でも取り上げられるなど、社会的にも注目されています。 また、メディアを活用した啓発による支援や設備資金等を融資する事業承継おうえん資金、さらに、コロナ禍で休廃業した事業の引継ぎを対象としたリボーン補助金などにより、事業承継の取組を積極的に支援しています。 今後とも、県の様々な融資制度等により、事業者の資金ニーズに的確に対応するとともに、事業承継・引継ぎ支援センターや商工団体と連携を密にし、専門家を活用した事業再生等の取組を後押ししつつ、県経済の維持発展に引き続き努めてまいります。  〔坂梨剛昭君登壇〕 ◆(坂梨剛昭君) 商工労働部長より、事業継続に対して、後押し、支えていただくという力強い答弁をいただきました。 新型コロナウイルス、あらゆる事業者は、誰もが初めての戦いに戸惑い、困惑しました。そして、多くの事業者は、今も歯を食いしばり奮闘をされておられます。着実にコロナ収束に向かい、ゴールに向かっている、そう信じ頑張っておられる事業者が、いざ立ち上がろうとしたとき、体力を失っていては本末転倒であります。県としても、全力で支援をよろしくお願いいたします。アフターコロナに向けて、これからが本当の戦いになります。よろしくお願いいたします。 次に、男女共同参画問題について伺います。 女性が活躍する社会、その場を設けることは、今や世界では常識とされています。 熊本では、平成13年に、熊本県男女共同参画計画、ハーモニープランくまもと21が策定されてから、現在の第5次計画まで改定を重ね、様々な取組を進めてこられました。 これまでの成果として、まず、審議会等委員への女性登用が増加してきたこと、令和3年の県の登用率39.4%、市町村は22.9%、県内事業所の管理職を占める指数も増加してきました。しかし、いまだ十分とは言えない状況であるという課題もあります。 次に、地域社会での参画においては、今後もあらゆる政策や方針決定の過程において女性参画を促進していく必要がある、県民の意識改革についても、県民アンケート調査によると、固定的性別役割分担意識に関しての意識は向上しているものの、まだまだ男性優位と感じる人が多い状況であり、今後も、あらゆる場面において、平等感に対し、さらなる普及啓発や環境改善に取り組む必要があります。 重点目標の一つである安全、安心な暮らしの実現では、DVをはじめ、性犯罪、女性への暴力や人権侵害の根絶に向け、様々な取組が行われています。その中で、DV被害者総合支援ガイドライン作成など、新たな取組も進められています。 DVにおいては、男性も5人に1人のDV被害経験があるということで、今後、あらゆる暴力の被害者も加害者も生まない社会づくり、警察、福祉、教育など、連携した取組を強化していく必要があります。 今後、男女共同参画社会づくりを強く進めていくためには、経済界、関係機関、団体など、産学官などと連携を強化していくことは必要不可欠であります。 熊本県は、4次計画に目標として掲げていた項目においては、ほぼ全ての指標が計画策定時の数値を上回り、効果が見られたということ、この成果はすばらしいことだと思いますが、一方で、世界と比較してまいりますと、我が国は後進国として扱われています。 2022年のジェンダーギャップ指数では、146か国中116位、教育と健康は指数が高いのですが、いまだ政治と経済の値は低い。今後、これらの課題と問題を解決していくためにはどのような対策が必要なのか、これからも幾度となく計画を改定し、取り組んでいかなければなりません。 アンコンシャスバイアスという言葉を御存じでしょうか。これは、無意識の思い込み、偏見という言葉で、これは誰もが潜在的に持っているものです。 我が日本は、古き常識的な考えがあって、いまだに男性は仕事をする、女性は家計を支えるなどと、このような考え方が、内閣府の性別による無意識の思い込みに関する調査によって、年代が高いほど意識が強いということでデータが出ております。 これから女性が活躍することは絶対的に必要でありますし、強く推し進めていくべきと考えますが、しかしながら、私は、あえて世界と競争する必要はないとも考えます。そもそもの文化が違うということ、各都道府県でも、細かく言えば、市町村でも育った環境や考え方も違ってきます。これから、女性の活躍、そして男性の活躍を伸ばしていくためには、お互いが支え、尊重し、今後、高い目標値を掲げて、現在の第5次熊本県男女共同参画計画を推し進めていくべきと考えます。 目標達成に向けてどのように取組を進めていくのか、環境生活部長にお尋ねをいたします。  〔環境生活部長小原雅之君登壇〕 ◎環境生活部長(小原雅之君) 女性の活躍は、多様性に富んだ持続可能な社会の実現に向けて、必要不可欠なものと認識しております。 県では、第5次男女共同参画計画に掲げた4つの重点目標、35の成果目標について、毎年度、進捗状況を把握し、目標達成に向け、様々な取組を行っております。 例えば、重点目標の1つ、「あらゆる分野における女性の参画拡大」では、政策や方針決定過程への女性の参画促進のため、県内事業所の管理職に占める女性の割合について、令和7年度までに30%を目指しております。 令和3年度の女性管理職の割合は27.3%と、令和2年度計画策定時の26.6%から増加しておりますが、目標達成にはさらなる取組が必要と考えており、女性管理職を育成する女性経営参画塾の実施、経営者及び人事労務管理者を対象とした企業トップセミナーの開催など、企業等の人材育成及び意識改革を支援しております。 また、「男女共同参画社会実現のための意識改革」を図る重点目標では、性別により役割を固定する考え方に同感しない県民の割合について、令和7年度までに80%を目指しております。 令和2年度の県民アンケート調査では、79.9%と目標数値に近づいていますが、男は仕事、女は家庭などの性別による固定的な役割分担意識がいまだに根強く残っている状況にあります。 そこで、毎年度、男女共同参画学習資料を県内全ての中学1年生及び高校1年生に配付し、若年層に対する意識改革に取り組んでおります。また、県男女共同参画センターでは、ワークショップやロビー展示を行うなど、県民への啓発にも努めています。 さらに、これらの目標の達成に向けて、熊本経済同友会や大学コンソーシアム熊本など、産学官連携による多様なメンバーで構成する女性の社会参画加速化会議を平成26年に全国に先駆けて設置しており、構成団体では率先して女性管理職の登用促進に努めておられます。 また、加速化会議が主催する男女共同参画社会実現を目指すための取組、ヒゴロッカサミットでは、女性の活躍はもとより、男性の家事や育児、地域活動への参画の必要性を訴えるなど、県民や県内事業所に対する情報発信、機運醸成に取り組んでおります。 男女が互いを尊重し、支え合うことで、女性の社会参画が進み、男女が共に活躍できる男女共同参画社会の実現へとつながります。計画に掲げる目標達成に向けて、経済界や関係団体等との連携を強化し、着実に取組を進めてまいります。  〔坂梨剛昭君登壇〕 ◆(坂梨剛昭君) 今月14日、積水ハウスは、男性育休白書2022を発表、調査内容は、男性が行う家事、育児の数、また、様々な5項目を数値化し、各都道府県ランキングが出されました。熊本は総合で5位、そのうちの項目で、家事・育児実践数では熊本は3位、週当たりの家事での時間は14.6時間、家事、育児に参加して感じる幸福度は、残念ながら32位でした。 これから女性がさらに活躍していただくためには、また、より社会参画を加速化させ、意識啓発を上げていくためには、男性の理解と協力は不可欠であります。 私としては、それに伴い、男性においても、より活躍するため、女性からも応援をしていただく、理解、協力をしていただき、お互いが支え合う熊本らしい独自の環境づくりができてくることを望みます。今後、第5次男女共同参画の目標達成に向け、ぜひ頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 最後の質問になります。 カモ等の鳥類による農産物被害対策について伺います。 全国での野生鳥獣による農産物の被害額は、平成22年、239億円に膨れ上がったものの、その後は減少傾向となり、令和2年は161億円となっています。これは、年月をかけて鳥獣対策に力を注いだ結果が出ているものと思われます。 しかしながら、我が県においては、平成22年の約8億円をピークに減少をし続けてはいるものの、令和2年度、そして令和元年度、2年連続で被害額は5億円を超えております。 これまでも、長きにわたり、侵入防止柵、そしてわなによる捕獲など、様々な対策をして一定の効果は見られたものの、解決の糸口までは到底たどり着けていないのが現状ではないでしょうか。 鳥獣の人への警戒心の低下、生息区域の拡大、捕獲者の活動を上回る生息数の増加など、問題は後を絶ちません。いわゆる知恵合戦であります。対策をすれば、鳥獣は学習し、簡単に解決してしまいます。この問題は、農産物被害だけではなく、その努力を踏みにじられることによって、金銭的な被害以上に生産者のやる気を低下させ、耕作放棄地がさらに増加する悪循環に陥り、深刻な影響も与えかねません。 令和2年度の熊本県の鳥獣種別被害額を見てみますと、やはりイノシシによる被害が全体の約46%を占め、次いで、カモが19%、鹿が11%、カラス、ヒヨドリ、猿と続きます。作物別被害額で見ますと、野菜、果実、米となっています。 ここで注目すべきところは、我が県は、カモをはじめ鳥類の被害が比較的に高いということです。令和3年9月、坂田孝志県議が代表質問で取り上げられました。今も、カモやヒヨドリ、その他の鳥類の大群が押し寄せては、農産物被害が大きな問題となっています。 さらに、注目すべきところは、令和元年、2年では、私の地元である玉名管内においては、カモ被害はゼロ、実際は少々被害は出ておりましたが、提出はされていませんでした。令和3年においては、私が聞いたところ、被害額は6,000万円に上がると見込まれています。目を背けることはできません。令和4年度において、さらに広がるのではないかと、生産者の方は危惧されています。 キャベツにブロッコリー、一夜にして食べ尽くしてしまう。食害された農産物は商品にならず、定植直後のものは植え替えが必要になり、多くの生産者は肩を落とされます。 これまで、玉名地域においては、対策として、鉄砲を放ち威嚇をする、レーザー、鷹匠などを雇い、様々な対処をやってまいりました。さらには、ドローンを定期的に飛ばすという方法も考案され、管理者の確保、費用面などで二の足を踏まれている状況です。 このような状況を踏まえ、質問をいたします。 県として、鳥類による農産物被害に対する対策の取組状況と今後の対策をどのように考えておられるのか、農林水産部長に見解を伺います。  〔農林水産部長竹内信義君登壇〕 ◎農林水産部長(竹内信義君) 本県の鳥類による農作物被害は、平成30年度までは大半がカラスによる被害であり、年間被害額は1億円前後で推移しておりました。しかしながら、令和元年度以降、カモによる干拓地における冬季露地野菜の被害拡大により、その額は2億円程度に急増しております。 近年、生産拡大している冬季露地野菜の栽培期間とカモの飛来時期とが重なっており、さらに、遊水池や水路がカモの生息地となっていることから、干拓地が格好の餌場となり、被害が拡大したと考えられます。 カモは群れで飛来することから、侵入防止対策が取りづらく、農地や作物全体を覆うことも、その労力や費用の面で難しいため、これまで効果的な対策は確立されておりませんでした。さらに、多数の群れが同じ餌場を共有しており、1つの群れを捕獲しても、他の群れが餌場とするため、飛来数を減少させることが困難です。 このため、県では、昨年度、八代、玉名、熊本、宇城の管内において、市町、JAや地域対策協議会等と連携し、被害の発生場所や発生度合いを分析した上で、カモの生態を調査し、わなによる捕獲や船上捕獲の実証を行いました。また、圃場への侵入を防止するため、水路に糸を張り巡らせたり、防鳥ネットや撃退装置を設置し、効果の検証を行いました。 これらの実証や検証の結果、遊水池や水路に近い圃場に被害が集中していることや、一度餌場となった圃場では追い払いが難しく、繰り返し被害が発生することが分かりました。 この結果を踏まえると、新たに飛来したカモが餌場と認識する前の早い段階で対策を講じることと、水路への防鳥ネット等の設置、収穫残渣のすき込み、狩猟と併せた威嚇による追い払いなどの対策を複数組み合わせて実施することが重要であると考えております。 そこで、これらの成果を基に、今月中にカモ類による露地野菜被害防止対策マニュアルを作成し、市町村、JA等の関係機関と連携しながら、マニュアルに基づく対策の普及拡大に取り組むこととしております。 今後とも、生産者の方々が安心して露地野菜生産を続けることができるよう、カモ等による被害防止に積極的に取り組んでまいります。  〔坂梨剛昭君登壇〕 ◆(坂梨剛昭君) 農林水産部長より力強い答弁をいただきました。 鳥類は、言われたように、飛来することから対策が取りづらく、明確な解決策という答えを見つけるのは難しいのかもしれません。もちろん、鳥獣も一緒でありますが、私たちの社会的構造が変化していくように、自然界も比例をし、変化していきます。質問でも申し上げました。これは、いわゆる知恵合戦であります。どうか、今後、様々な関係機関としっかりと連携を取り、生産者の生活の基盤、農産物を守っていただきますよう、さらに、解決に結びつく対策を講じていただきますよう、よろしくお願いをいたします。 最後に、要望をさせていただきたいと思います。 有明海沿岸連絡道路について要望をさせていただきます。 今年1月、三池インターチェンジ連絡路着工式が行われ、熊本への期待も大きく膨らみました。 今後、荒尾、長洲、そして玉名へと入り、熊本を南下、交通アクセスとして大幅な時間短縮、災害時でのライフラインとしての役割、その他、住宅、工場、企業、物流、交流人口の増加に伴う地域の活性化など、道路が通ることにより生まれる可能性は無限大に広がり、それはたとえ私道であっても、私たちの生活を創造してくれます。それが有明海沿岸道路となれば、きっと大きなうねりを生じてくれるものと思われます。 有明海沿岸道路は、沿岸の都市群を連携することにより、地域間の連携、深刻な渋滞箇所の混雑緩和、交通安全の確保など、交通促進のため計画された地域高規格道路になります。 熊本は、九州の中心に位置し、その地理的優位性を最大限に生かす熊本県新広域道路交通計画のコンセプトとして「すべての道は、くまもとに通じる」とありますが、まさにそのとおりでございます。 そのような中、昨年の6月、有明海沿岸連絡道路ということで、広域道路ネットワークの計画の中に、構想路線ではありますが、記されました。 この路線は、有明海沿岸道路から玉名市付近で河内方面と分岐し、東側へと延伸され、現在の熊本西環状道路につないでいくであろうと予測できます。県北地域として、大きな魅力を感じずにはいられません。 県北地域から熊本市内、空港までの大幅な時間短縮、TSMCをはじめ、関連企業などのベッドタウン、さらには企業誘致にも寄与するであろう連絡道路には、大きな可能性を感じます。また、進行中であります中九州横断道路へとつながるのであれば、大分県から佐賀県まで横断する横軸の重要路線にもなるのではないでしょうか。 今後、有明海沿岸道路の促進は最重要課題でございます。ですが、併せて、九州の横軸として重要路線となり得る有明海沿岸連絡道路につきましても力を注いでいただきますよう、要望をさせていただきます。 以上で、質問6項目、要望1項目、無事終えることができました。 明日は、秋分の日になります。その趣旨は、祖先を敬い、亡くなった人々を敬うという日だそうです。どうかお参りをしていただき、厄払いをしていただきたいと思います。私もしっかり頑張ってまいります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(髙野洋介君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明23日から25日までは、県の休日のため、休会でありますので、次の会議は、来る26日午前10時から開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第6号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後2時9分散会...